馬場あき子旅の歌43(11年9月)【コンヤにて】『飛種』(1996年刊)P142
参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:曽我 亮子
司会とまとめ:鹿取 未放
314 アナトリアの大地ゆつたりと盛り上がり肉体感のごとき耀(て)りみゆ
(レポート)
アナトリアの大地はおおらかにふくらんでなめらかな人肌のように光り輝いて見える。広大なアナトリアの中部高地は、紀元前より様々な民族が自らの主権の為に戦い、11世紀中央アジアのセルジュークトルコ人によって建国されたトルコの中核をなす土地である。小麦畑の広がる起伏に富んだ大草原や、エルジュス山の大噴火によって生まれた奇岩のカッパドキア等、壮観で現実離れした風景が広がっている。また南部のアンタルヤ近郊にはローマ時代の遺跡も多く残り、トルコの長い歴史を物語る。作者はあらゆる対象―山容や山肌までも「生あるもの」として対しておられることが理解される。私見だがカッパドキアを見ての作品ではないかと思われる。(曽我)
(当日意見)
★カッパドキアに限定しなくても良いのではないか。(藤本)
★「ゆつたりと盛り上がり」というのだから、「小麦畑の広がる起伏に富んだ大草原」などの方が
この歌の情景に合致しているように思います。これはバスからの風景なのでしょうかね。下の句
がうまく雄大さを引き出していると思います。(鹿取)