脱ケミカルデイズ

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遅れるPCB処理

2012年05月28日 | 化学物質

朝日新聞2012年5月18日PCB処理、7年遅延へ 環境省委報告書案 地元の反発必至

40年前に製造・使用が禁止された有害物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)の廃棄物をめぐり、国などが進める無害化処理の完了が法令で定めた2016年から大幅にずれこみ、23年ごろとなることが、環境省の有識者委員会が18日に示す報告書案で分かった。全国5カ所の処理施設は地元住民が期限付きで建設を容認した経緯があり、住民らの反発は必至だ。

報告書案などによると、北九州市、愛知県豊田市、大阪市の施設の処理終了は18年度、北海道室蘭市と東京都が23年度になる見通し。PCB処理を全面委託された日本環境安全事業(JESCO)が試算した。環境省は報告書案の承認後、処理計画の改定を進める。

PCBは絶縁油などとして蓄電器(コンデンサー)や変圧器(トランス)に多く使われたが、漏れたPCBに汚染された魚などを食べた人の健康影響が問題になった。また、PCBが混入した植物油によるカネミ油症事件も発生、1972年に製造・使用が禁止された。廃棄方法が難しいため、工場などに保管する状態が続く一方、紛失や行方不明が続出。01年に16年までの処理を義務付けた特別措置法が制定され、04年にようやく処分が始まった。

しかし、昨年3月末時点で処理されたコンデンサーは対象の約33万台に対して約8万3千台、トランスも約1万8千台中約6200台。作業員がPCBを吸い込む恐れや、形状の違う容器の解体に時間を要することで作業に時間がかかり、微量の漏出事故などで操業が止まるなどのトラブルなども影響したという。

環境省産業廃棄物課は「処理期間を短縮したいが、簡単ではない。地元自治体や住民には精いっぱい取り組んでいることを説明し、理解を求めたい」としている。だが、施設の地元住民の一人は「約束を守らず、なし崩し的に操業が延びるのは納得できない」と批判する。(森治文)

 

朝日2012年5月19日 PCB廃棄物越境受け入れ環境省委報告書案

国などが進める有害物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物の処理のあり方を検討する環境省の有識者委員会は18日、処理の終了が当初予定から7年遅れて2023年になる見通しとする報告書案を公表した。全国に5カ所ある処理施設の地元との合意で決められている受け入れ区域を越境して廃棄物を持ち込むのを前提としており、地元の反対も予想される。

報告書案によると、原則通りの処理だと法令で定めた!6年に終えるのは困難で、施設によっては36~37年までかかり、28年までのPCB全廃を求めた国際条約にも抵触する。終了を前倒しするため、廃棄物の越境を容認した。

処理を委託されている日本環境安全事業では、比較的余裕のある施設に廃棄物の一部を回すなどして処理期間を圧縮した工程表を作成。委員会も同杜の方針を支持したが、報告書案はPCBの漏出などに対する住民の懸念を考慮し、「地元の理解を得ることに努めることが必要」とした。

さらに報告書案では、未確認のPCB廃棄物が今後見つかり、処理量が増える恐れもあるとして、23年からさらに2年ほどの余裕をみるべきだと提言した。環境省は7月ごろまとまる報告書を受けて地元住民らと話し合いを重ね、年内には処理計画を改定したい考えだ。PCBは、禁止された1972年までに製造された蓄電器(コンデンサー)や変圧器(トランス)の中に主に入っている。(森治文)