脱ケミカルデイズ

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後を絶たない農薬事故

2012年05月17日 | 農薬

農薬に係わる事故は後を絶ちません。農水省では、毎年度末に農薬事故についての報告をまとめています。昨年5月には越谷市でも2人が重体になる事故が報道されています。

 

農水省 2012年3月8日 平成22年度農薬の使用に伴う自己及び被害の発生について

http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouyaku/120308.html

 農林水産省は、平成22年度に発生した農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況について取りまとめました。

農薬を食品の空容器に移し替えたために誤って飲んでしまったり、農薬を散布する際の防護装備が不十分だったこと等が原因で、38件の中毒事故が発生しました。これらの事故を防止するには、(ア)農薬を食品の容器に移し替えない、(イ)農薬を飲食品とわけて保管・管理する、(ウ)農薬を使用する際にラベルを確認し、その記述を守って防護メガネやマスク等の防護装備を着用する、などの取組が重要です。

農林水産省は、本調査結果を活用して、「農薬危害防止運動」を実施するなど、農薬事故の防止に取り組んでまいります。

調査目的・調査方法

農林水産省は、農薬の使用に伴う事故及び被害の実態を把握することにより、より効果的な再発防止対策の策定を目的として、厚生労働省と連携して調査を実施しています。  

平成22年4月から平成23年3月までに発生した農薬による人の中毒事故、農作物・家畜等の被害を調査の対象とし、全都道府県に情報提供を依頼しました。  

調査結果

事故の対象

件数

原因

38件

 農薬を食品の空容器に移し替えたり、食品と同じ場所で保管したりするなど、不適切な保管管理をしたため、食品と誤って飲んだり、農薬が漏洩(12件)
農薬の散布時にマスクなどの防護装備が不十分だった(3件)
防除機具の故障や操作ミスにより農薬を浴びた(3件)

農作物

7件

 農薬の使用方法を誤ったり、隣接する作物に使用した農薬が飛散した

蜜蜂

6件

 因果関係は不明だが、農薬の使用時期に発生した事故が含まれる

魚類

4件

 因果関係は不明だが、農薬が原因として疑わしい事故

今後の対応

事故を防止するためには、(ア)農薬を食品の容器に移し替えない、(イ)農薬を飲食品とわけて保管・管理する、(ウ)農薬を使用する際にラベルを確認し、その記述を守って防護メガネやマスク等の防護装備を着用する、(エ)周辺の作物や人畜に影響を及ぼさないよう、飛散防止対策を十分に行う、といった取組が重要です。

農林水産省は、全国的に農薬の安全使用を一層推進するため、この結果を都道府県に通知し、農薬の安全使用の指導を徹底するよう依頼しました。引き続き本調査結果を活用し、厚生労働省、環境省、都道府県等と連携して「農薬危害防止運動」を実施するなど、農薬事故の防止に取り組んでまいります。

本調査は引き続き実施していきます。

公表資料

「平成22年度農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況」及び過去5年の調査結果は、当省ホームページからご覧になれます。

農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況について

http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_topics/h20higai_zyokyo.html

 

参考 昨年5月には下記のような事故が起きています。

朝日新聞2011年5月16日 殺虫剤誤飲2人重体 越谷 ペットボトルで自治会配布

 埼玉県越谷市恩間の女性(74)宅で15日午後5時10分ごろ、女性2人が倒れているのを家族が見つけ、119番通報した。県警によると、2人はこの家に住む女性と、さいたま市岩槻区に住む友人の女性(71)。越谷市が自治会を通じて配布した液体の殺虫剤を誤って飲んだとみられ、いずれも意識不明の重体という。越谷署や越谷市によると、市が13日に女性が住む地域の自治会に、一斗缶に入った液体の殺虫剤を配布。自治会は200~300倍に希釈したうえで、2リットル入りのお茶のペットボトルに入れ替え、女性宅には14日タに届けていたという。

同署によると、女性宅に配られたペットボトルにはお茶のラベルがついたままで、中に入っていた液体は淡い黄色だった。2人は病院に搬送される前、家族に「お茶を飲んだら吐いた」と話したという。市によると、液体はハエやゴキブリなどの殺虫用で、毎年自治会に配布している。各家庭に配布する際には、誤飲防止のためにペットボトルなどの容器に移し替えないよう注意を呼びかけていた。

この自治会では殺虫剤を計26本のペットボトルに入れ替えたといい、同署などが配布先の家庭から回収を進める。

「容器で勘違い」過去にも

同様の誤飲事故は過去にも起きている。長崎県五島市で2008年、ペットボトル(500ミリリットル)入りの殺虫剤を、70代の女性がお茶と間違えて飲んで入院した。市が一斗缶で町内会に配布し、女性宅にはペットポトルに入れた状態で冷蔵庫に保管されていたという。秋田県北秋田市では00年、ドリンク剤の瓶に入った殺虫剤が誤って薬局に陳列され、購入した50代の女性が飲んで病院に運ばれた。誤飲事故は、液体入浴剤などでもきている。今年1月には愛知県内の男児(4)が、お茶の飲料によく似たペットボトル(500ミリリットル)入り入浴剤を誤って飲み、意識を一時失った。消費者庁は「判断能力が落ちた高齢者や幼児の事故を防ぐには、容器の注意表示だけでは難しい」として、メーカーや業界団体に対応策を要請することを検討している。