脱ケミカルデイズ

身の周りの化学物質を減らそうというブログです。 

一部のアゾ色素が有害物質に変化するとして繊維業界が自主規制

2012年03月30日 | 化学物質

経産省2012年年3月30日 繊維製品等の安全性の確保について~有害物質に変化し得る染料・顔料の使用自粛に向けた業界の自主基準に対する対応~

経済産業省では、健康被害の未然防止の観点から、有害物質に変化し得る一部のアゾ色素について、家庭用品規制法を所管する厚生労働省に対し、それを使用した繊維製品等の規制の検討を継続的に要請するとともに、繊維製品等の安全性確保に関する自主的な取り組みを繊維産業界(日本繊維産業連盟)に要請し、業界と協力しつつ、繊維製品の安全性の確保に努めてまいりました。

日本繊維産業連盟では、繊維製品の安全性確保に関する業界自主基準を策定し、運用が開始されており、昨日(29日)その一般公表を行いました。

経済産業省では、この自主基準の遵守等を通じて、繊維製品の安全性の確保に万全を期すよう、広く関係者に対して周知を行っていきます。

1.経緯

(1)諸外国での規制の開始

1999年のオランダの国立研究所による見解を端緒として、健康リスクの低減のため、有害芳香族アミンに変化し得る一部のアゾ色素について、EU(2002年)、中国(2003年)、韓国(2010年)等で繊維製品への使用等が禁止されました。

【有害芳香族アミンについてのオランダ国立公衆健康環境研究所の見解】

一部のアゾ色素(染料や顔料)が、繊維製品から溶出し、皮膚で有害芳香族アミン(発がん性が指摘される芳香族アミン)に分解し、体内に吸収され、がんを発症するリスクは、無視できるレベル(1×10-6(がんになる人が100万人に1人増えるリスクレベル))を超える。

【アゾ色素】

アゾ色素は、全色素の60~70%を占める一般的な色素。有害芳香族アミンに変化するのは、全アゾ色素のうち約5%(179種類)であり、他のアゾ色素で代替することが可能。

(2)国内での実態

染色に使用されるアゾ色素自体には、染色された衣類の着用等により、健康影響を生じさせるという指摘はないものの、一部のアゾ色素については、発がん性のある芳香族アミン(※1)に変化する可能性が指摘されています。

有害芳香族アミンに変化し得るアゾ色素で染色された繊維製品の使用が、がんの発症に至るには、様々な過程(※2)を経る必要があり、その実例の報告もありません。また、これまで当省等が実施した試買調査では、有害芳香族アミンは、ほぼ不検出であり、現段階では国内に流通する繊維製品に有害物質に変化するアゾ色素が使用されている可能性は小さいと考えられています。

【過去の試買調査の結果(EU基準超の有害芳香族アミン検出件数)】

繊維:279件中7件(全てインド製ランチョンマット)。直近調査(対象60件)では不検出。

皮革:185件中1件(輸入革)。

※現在、厚生労働省も、繊維約30製品、皮革約20製品の試買調査を実施中。

※1:世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関は、5種類の芳香族アミンについて、ヒトに対する発がん性を指摘している。欧州ではこれら5種類を含む22種類の芳香族アミンが規制対象となっている。

※2:繊維から色素の溶出、皮膚表面での分解、皮膚から吸収など

http://www.meti.go.jp/press/2011/03/20120330004/20120330004-1.pdf


ポテチ税・脂肪税

2012年03月22日 | 食品

■ポテチ税・脂肪税

 ハンガリーでは、昨年9月から「ポテチ税」なるものが始まった。これは、スナック菓子など塩分や糖分が高い食品を対象とした税で、食べ過ぎを抑え、成人病の原因となる肥満を予防することを目的としている。ポテトチップス100グラムなら7円相当の金額が製品に上乗せされる。栄養剤やアイスクリーム、アルコール入り飲料なども対象。OECD加盟国のうち30カ国の15歳以上の肥満率は、国別ではハンガリーが8位の18.8%。ちなみに1位は米国の34.3%、日本は30位の3.4%。ハンガリーの菓子業界は「摂取カロリーに占める菓子類の割合は約5%にすぎないのに不公平だ」と反発しているそうだ。
 デンマークでは、昨年10月より、肉などの脂肪に多い「飽和脂肪酸」を一定量以上含む食品にかける脂肪税が始まった。ピザなどの加工品も含め、飽和脂肪酸1キロ当たり16クローネ(約230円)が課税される。
 このような健康と税収の両面を目的とした税は欧州各国で広がりつつあり、フランスやアイルランドは糖分が多い清涼飲料への課税に、英国は脂肪税の導入に前向きとのことだ。ルーマニアでは昨年ハンバーガーなど「ジャンクフード税」を検討したが、業界の反対で足踏みしている。(朝日新聞2011年10月17日、2012年1月10日より)
「商売の自由」、「健康より経済優先」の日本では難しいだろうが、省エネ、廃棄物減らしのためにも、清涼飲料税などぜひ導入してほしいものだ。


がん予防まず禁煙・減塩

2012年03月18日 | 化学物質

朝日新聞2012年3月18日 がん予防まず禁煙・減塩

日本酒1日1合で週1休肝日・たらこ月20グラムまで

禁煙、節酒、減塩、適度な運動、適切な体童の維持。こんな五つの生活習慣を一つ実践するごとに、がんのリスクが平均して1割減るという。国立がん研究センターが約8万人を約10年追跡して分析した。どのようにしたら、健康に良い生活習慣は実践できるのか探った。

追跡調査の対象者は、岩手県や大阪府、新潟県などに住む45~74歳の男女。国立がん研究センターのチームが、がんの発生と、様々な生活習憤との関係を調べた。この結果、男女で平均すると、①禁煙②節酒③減塩④適度な運動⑤適切な体重の維持、という五つの良い生活習憤の一つを実践するごとに1割ほどがんリスクが減り、五つすべて実践するとリスクがほぼ半減することがわかった。

良い生活習憤の筆頭は「禁煙」だろう。喫煙はがんに限らず、心臓など循環器の病気のリスクも高める。東京大のチームは、2007年の死亡者のうち約13万人が喫煙が原因で死亡したと推計している。

とはいえ、実践が難しいのも禁煙。大阪府立健康科学センター健康生活推進部の中村正和部長は「健康診断や薬局に行った機会を利用して、医師や看護師、薬剤師らに禁煙について、相談して欲しい。自力でやめることにこだわらずに、禁煙補助薬も上手に使えば成功率が上がります」とアドバイスする。

原則として禁煙治療には医療保険が使える。まだ、禁煙治療が受けられる医療機関は全国で1万4千カ所程度だが、日本禁煙学会のサイトで、医療保険の使える医療機関が検索できる(http://www.nosmke55.jp/)。

お酒は、完全に禁酒する必要はないものの、エタノール換算で週150グラム未満に抑えよう。日本酒1合やビール大瓶1本、ワインのボトル3分の1本、ウイスキーやブランデーのダブル1杯分がエタノール換算で約23グム。ほぼ連日、お酒をたしなむ人は、日々の飲酒量をこの程度にして、週1回、休肝日をつくれば、週138グラムのエタノール量になる。

がんセンターの研究チームは、たらこや筋子など塩蔵した魚卵の摂取量と、がんの発生率との関係も調べた。たらこを月4分の1腹(約20グラム)以上食べる人は、食べない人より、有意にがんの発生が多かった。同センターの別の研究では、がんの発生頻度と、漬物、塩ザケなどの干物、みそ汁の摂取量とにはっきりした関係はみられなかった。今回の研究チームの笹月静予防研究部室長は「疫学研究では、因果関係が出やすいものと、出にくいものがある。健康に良いという意味では、塩分摂取全体を控えめにした方がいいだろう」と話す。

減塩は高血圧予防にもつながる。厚生労働省の高血圧ホームページでは、減塩を中心にした食事を紹介している。太りすぎだけでなく、やせすぎも免疫力の低下などを招き、よくない。運動や食事で、適度な体重を維持しよう。散歩が楽しい季節。まずは、歩く時間を増やすことから始めてみよう。(大岩ゆり)

 

がんを防ぐ生活習慣

1種類実施すると発症の危険が1割減る

禁煙:受動喫煙にも注意

節酒:エタノール換算で週150㌘未満。日本酒1合やビール大瓶1本、ワインボトル3分の1がエタノール換算で約23㌘相当

減塩:高塩分の食品を1日O.67㌘未満。たらこ4分の1腹(約20㌘)を月1回食べた場合、1日換算で0.67㌘になる。筋子やメンタイコも高塩分

適度な運動:活動度を示す単位「メッツ時」で1日当たり男性37.5以上、女性31.9以上。男性会社員なら、1日に筋肉労働や激しいスポーツ1時間以上、着席8時間以上、歩いたり立ったり1時風未満という生活で37.5メッツ時

適切な体重:肥満指数(BMI)で、男性は21~27、女性は19~25。BMIは体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で割る(国立がん研究センターによる)

 


ナノ材料が多剤耐性菌を増やす恐れ

2012年03月15日 | ナノ物質

朝日新聞2012年3月15日 ナノ材料 新たな懸念 薬効かぬ細薗増やす可能性

化粧品など日用品にも利用が広まっているナノ材料が、多くの抗生物質が効かない多剤耐性菌を増やす可能性があることがわかった。中国のチームが今週の米科学アカデミー紀要電子版に実験緒果を発表した。細菌は、通常のDNAとは別のプラスミドと呼ばれるDNAを持つ。これが別の細菌に移ることがあり、薬剤耐性が広がると考えられている。酸化アルミニウムなどのナノ材料を水に加え、大腸菌からサルモネラ属菌ヘプラスミドの中の多剤耐性遺伝子が移る効率を調べたところ、ナノ材料なしの場合に比べ数十~数百倍になっていた。ナノ材料が細菌の細胞膜を傷つけ、耐性遺伝子が細胞間で移りやすくなったらしい。直径が100ナノメートル(ナノは10億分の1)以下のナノ材料は、さまざまな工業応用が期待される一方、発がん性なども心配されている。今回の結果は新たな懸念材料を加えるもので、チームは「下水処理への悪影響などを評価するうえで重要」としている。(南宏美)