脱ケミカルデイズ

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歯科金属アレルギー

2012年05月10日 | 化学物質

朝日新聞2012年4月23日 歯科金属アレルギー

春を迎え、汗ばむことが増えてきた。時計やアクセサリーなど、金属が原因で赤みや発疹が出る金属アレルギーは、汗が原因となりやすい。しかし直接金属に触れていない部分にも、歯の詰め物などの金属が原因で全身に症状が出る揚合もあり、注意が必要だ。

同じ金属に繰り返し触れると、汗や唾液で溶け出した金属イオンが体内に入り込む。これがたんぱく質と結びつき、異物とみなされるとアレルギーの原因となる。最近注目されているのが、歯科の治療で使う金属が原因となる「歯科金属アレルギー」だ。「皮膚科などでいくら治療しても治らない場合や、症状が出る前に集中的に歯科治療を行った揚合、歯科金属アレルギーが疑われます」と、東京医科歯科大臨床教授で、松村歯科医院(東京都)の松村光明院長は話す。歯科用合金には、ニッケルやクロム、コバルトなど、アレルギーを起こしやすい金属が使われている。歯の詰め物などに合まれる金属が唾液を通じて血液に流れ込むと、全身に症状が出る。

金属に接している部分が赤く炎症する口内炎のほか、口の中や皮膚に編み目模様の白い斑点ができる扁平苔癬(へんぺいたいせん)、手のひらや足の裏にうみを持った水疱状の湿疹ができ、その後、ボロボロと皮がむける掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、手足に小さい水ぶれが出来て、かゆみがある異汗性湿疹などがある。歯科金属アレルギーが疑われる場合、金属パッチテストを受ける。日本歯科大皮膚科学の山口全一教授によると、背中や腕の内側に、原因として疑われる約20種類の金属の試薬を含んだばんそうこうをはりつけ、そのまま2日間過ごす。ばんそうこうをはがし、1時間後、1日後、2日後、1週間後にそれぞれ、アレルギー反応が出ているかどうかを調べる。この結果や症状をもとに、アレルギーの原因が歯科金属にあるかどうかを診断する。原因として強く疑われた場合、過去のカルテなどで該当する金属が使われているかどうかを確認する。陽性反応が出た金属が含まれていた揚合は、治療で使った金属を取り除き、代わりにセラミックやプラスチツクなど、金属が含まれていない材料と交換する。インプラント(人工歯根)には、アレルギーを起こしにくいチタンが使われているため、症状が出る場合はほとんどないという。

 もともと金属アレルギーが出やすい人は、歯科治療の際に初めから金属を使わないという選択肢もある。山口さんは「日本メタルフリー歯科臨床学会のウェブサイト(http://metalfree.net)には、学会所属の歯科医らの名前が載っているので、参考にして欲しい」と話す。

もしかして、歯科金属アレルギー?

①口内炎がなかなか治らない

②歯茎が炎症を起こしている

③小さい赤や紫色の湿疹が手首の内側や足などにできる

④口の中がただれたり、皮膚がうろこ状にかさついたりする

⑤うみがたまった水疱が手のひらや足の裏にたくさんできる

⑥鎖骨や胸の中央の関節が痛くなる

⑦手のひらや指、足の指などに水疱が出る

①②は金属が直接触れることにより起きているのかもしれません。③④は扁平苔癬の可能性があります。⑤⑥は掌蹠膿疱症が疑われます。足の湿疹は水虫に似ているため、角層を取って顕微鏡で調べ、水虫を起こす薗がいるかを調べる必要があります。⑦は異汗性湿疹の可能性があります。掌蹠膿疱症と異なり、水疱にうみはたまりません。

 金属アレルギー学会のウェブサイト(http://www.metalallergy.jp/)では、歯科金属アレルギーに関するQ&Aが掲載されている。歯科医の吉川涼一さんによる「金属アレルギーと歯科治療」(現代書林、1050円)などの本も出版されている。  

以上