毎日新聞 2013年12月29日 20時48分
マルハニチロ:冷凍食品から農薬 90品630万袋回収
http://mainichi.jp/select/news/20131230k0000m040033000c.html
マルハニチロホールディングス(HD)は29日、同社の子会社「アクリフーズ」の群馬工場(群馬県大泉町)で製造した冷凍食品の一部から、農薬「マラチオン」が検出されたと発表した。同社は、異臭などの苦情があった製品が製造された今年10月3日以降に同工場で製造された約630万袋を含む全商品の自主回収を開始。今月27日に同工場を停止し、原因究明を進めている。同社は、意図的に混入された可能性もあると見て、群馬県警大泉署に事実関係を報告。群馬県は30日にも同工場を立ち入り調査する。
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29日時点までに、ピザ11件、フライ8件、コロッケ1件の計20件で苦情が寄せられた。「レンジミックスピザ2枚」を食べた消費者から、「くさいので、子供がはき出した」との苦情があったが、それ以外に健康被害の報告はないという。
マラチオンは有機リン系の殺虫剤で、同工場で使用されることはない。検出されたマラチオンの濃度は、最高だったコーンクリームコロッケで残留農薬の基準0.01ppmの150万倍(1万5000ppm)の高濃度。原料に使う小麦は米国などからの輸入が多い。同社は、残留農薬として残っていた可能性が「完全には否定できない」というが、製造や出荷段階で故意に混入された可能性もある。
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回収するのは、群馬工場で製造された全商品で、市販用44品目、業務用46品目の計90品目。流通過程の在庫が少なくとも630万袋、購入済みを含めるとさらに増える。回収費用は13億円を見込む。市販用商品の裏面には製造者「株式会社アクリフーズ群馬工場」と記載されている。一部はイオンや西友、日本生活協同組合連合会のプライベートブランドで販売されているが、これには社名がない。業務用はスーパーの総菜用などに出荷している。
群馬工場では今年9月に設備改修工事を実施したため、アクリ社は当初、ペンキ類が混入したとみていた。このため農薬検査が遅れ、最初の苦情から発表まで約1カ月半かかった。