朝日新聞2012年4月20日
アレルギー 震災で悪化 仙台で子ども調査 避難や停電、影響
東日本大震災の1~2カ月後に仙台市内の医療機関を受診したアトピー性皮膚炎の子どもの55%、気管支ぜんそくの22%が「症状がひどくなった」と訴えていたことが分かった。アレルギー患者全体では63%の子どもが、症状の悪化など何らかの困難を感じていた。
宮城県立こども病院の山岡明子医師らが昨年4月22日~5月23日、日本小児アレルギー学会の協力で専門医のいる市内の3医療機関を受診した0~16歳の402人に調査した。アトピー性皮膚炎の228人中43%が「入浴できずに湿疹が悪化した」と回答。重症化して入院が必要になった子もいた。気管支ぜんそくの164人中15%は、「停電で吸入が出来なくなり困った」と回答した。
食物アレルギーでは279人中21%が「食べられるものを得るのが大変だった」と回答。避難所で理解されずにつらい思いをしたり、じんましんや、急激で重いアレルギー反応を起こしたりした子もいた。
こうした結果から、山岡医師は非常時の対応策として、アトピー性皮膚炎では、入浴できない時はぬらしたタオルで拭いて塗り薬を多めに塗る▽気管支ぜんそくでは吸入器専用のバッテリーや電池式吸入器、電源不要の吸入薬を用意しておく▽食物アレルギーでは、アレルギー反応が出る食べ物をはっきりさせる検査を受けておくーなどが有効としている。(下司佳代子)
■災害時のアレルギー児への対応
ぜんそく
・たき火の煙など発作の引き金になるものを避ける
・発作が起きたら水分をとり、ゆっくり深く息をする
アトピー性皮膚炎
・ストレスや体調不良でかゆみが強くなることも。冷たいタオルで冷やす
・入浴できない時は早めにステロイド入りの塗り薬を使う
食物アレルギー
・顔の一部のじんましんなど、軽い症状なら抗ヒスタミン薬の服用を
・全身にアレルギー症状が出て、苦しそうな場合は、すぐに医療機関
(日本小児アレルギー学会のぱんふれっとから抜粋)