朝日新聞2011年11月18日
化学物質過敏症「住環境から予防を」米大教授が講演
化学物質過敏症など環境医学が専門でテキサス大学医学部のクラウディア・S・ミラー教授が東京都内で10日、「健康な子どもたちのための住居設計」と題して講演した。化学物質にさらされることの危険性を訴え、住環境からの予防の大切さを説いた。
シックハウス対策をテーマにした積水ハウスのセミナーの一環。国内では今年、化学物質とぜんそくなどの関係を調べる、母子10万組を対象にした健康調査が始まるなど関心が高い。
化学物質過敏症は、身の回りの化学物質に反応し、頭痛やせきなどの不調が起こる。化学物質への耐性をいったん失うと、香水や排ガスなど、以前は平気だった物質にも過敏になることがある。なぜ、耐性を失ったのか、その原因ははっきりしていない。
家庭や学校、職場などの屋内で日常的に化学物質を吸い込んでいる現状を踏まえて、ミラー教授は「発育途上の子どもは特に注意が必要」と話した。子どもの方が大人と比べ、体重1㌔あたりの空気摂取量が多いからだ。また、妊娠初期1ヵ月が最も敏感で、胎児の細胞がつくられる過程で神経や免疫に影響を及ぼす可能性があるという。有効な対策として、まず化学物質を避けることが重要と指摘。「建築資材の安全性など、屋内環境への配慮が大切だ」と話した。