脱ケミカルデイズ

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化粧品被害を防ぐには

2012年05月12日 | 化粧品

朝日新聞2011年12月15 化粧品で肌荒れ避けるには

異常感じたら診察 強い効果PRには注意

小麦由来成分が入ったせっけんを使って、多くの人がアレルギーを起こしました。ふだんの暮らしでも、化粧品で肌が荒れたり、かぶれたりというケースは珍しくありません。化粧品による肌トラブルのわけや、できるだけ避ける方法など、基本的な知識をまとめました。

 全国の消費生活センターに寄せられる「危害情報」で、化粧品は毎年、上位にランクされている。体に危害があった事例のことで、化粧品類はこの3年間、600~650件で推移。2008年度に1位、09,10年度が2位となっている。皮膚障害が最も多く、昨年度は全体の8割以上を占める。「ネット通販で購入したファンデーションが肌に合わず、湿疹が出た」「泡状の染毛剤を使ったら、頭に痛みとかゆみが出て赤くなった」などだ。国民生活センターによると、「使うのをやめたら治った」というケースが多く、正確に原因成分まで特定されることは少ないという。化粧品による肌トラブルはなぜ起こるのか。藤田保健衛生大学の松永佳世子教授(皮膚科)は「化粧品は直接皮膚につけるもの。肌がそれを異物と感じると、かゆみやヒリヒリ感などといったかぶれが起きる。『肌に合っていない』というサインです」と説明する。肌が乾燥していると、つけた物質が皮膚の中に入り込んで起きやすくなる。

2010年度危害発生件数上位5商品

1位  医療サービス       712件

2位  化粧品           649件

3位  エステティックサービス 593件

4位  健康食品         423件

5位  外食            335件

全件数              8595件

 

化粧品649件のうちわけ

皮膚障害           535件(82.4%)

その他の傷病及び諸症状 87件(13.4%)

呼吸器障害           7件(1.1%)

           国民生活センターによる

 

どの成分も発症恐れ

 こうした症状は接触皮膚炎と呼ばれ、大きく刺激性とアレルギー性に分けられる。刺激性は、皮膚についた原因物質が細胞を傷つけて起きる。一方、アレルギー性は、皮膚についた原因物質に対して体の免疫システムが働き、アレルギー反応で起きる炎症。原因物質を体が「危険な物で排出しなくてはならない」とみなしているため、同じ物質に触れると繰り返し起きる。どんな成分でも、一部の人にアレルギーを引き起こす可能性はあるとされている。ただ、今回の問題は、これまでの化粧品によるアレルギーの症例とは違う性質がある。せっけんに合まれていた小麦由来成分が皮膚を通じて体内に入り、抗体ができて、口から小麦を食べた時にまでアレルギーの症状が出るようになった点だ。こうした現象は、今まで予想されていなかつたという。日本アレルギー学会のまとめによると、11月25日時点で発症者は569人。この問題をめぐる同学会特別委員会の委員長を務める松永教授は「これほど大人数の発症は初めて」と言い、1960年代から「黒皮症」の名で杜会問題となった、色素沈着型化粧品皮膚炎以来の重大問題とみる。せっけんに含まれていた小麦由来成分が、なぜこうしたアレルギーを引き起こすのか試験などで解明を進めている。

表示欄でアレルギー成分の確認を

「食べているものは、肌に塗っても問題ない」というイメージが強いが、松永教授は「そうとは言えない」と話す。消化器官には消化液などで食品を消化分解する機能があるが、皮膚には同じ機能はなく、皮膚経由と消化器官経由を同じようには論じられないからだという。普段の生活でなるべく肌トラブルを起こさずに化粧品を使うには、どこに気をつけたらいいのか。松永教授は三つのポイントをあげる。

①カサカサしたり、しみたりといった異常を感じたら、使用をやめて医師の診察を受ける。よく「使い始めに肌が赤くなったり、荒れたりするのは、体の中の毒素が出ているから」などという宣伝があるが、絶対に信用しない。

②強い効果をPRする商品には要注意。化粧品には、医薬品ほど強い効果を出す成分は入っていない。

③自分にとってアレルギーを起こす可能性がある成分がわかっている人は、表示欄をチェックする。

 一般に化粧品と呼ばれるものは、薬事法上、化粧品と医薬部外品に分かれてい。化粧品には全成分表示が義務づけられており、医薬部外品も業界の自主的な取り組みで、全成分が表示されている商品が多い。大手メーカーの安全性評価担当者は「試供品を活用して、使用感の確認を」とすすめる。モニター調査をすると、メーカーがすすめる使用法を確認せず、思い込みや自已流で使っている人が多いという。「正しい使い方で防げるトラブルもある。取り扱い説明書に一度目を通してほしい」と話す。(編集委員・大村美香)

 

「茶のしずく」4650万個販売

 悠香(福岡県)が昨年12月まで販売した「茶のしずく石鹸」の旧商品を使った人から、全身の腫れや呼吸困難など、アレルギー症状の訴えが相次いだ。商品はのべ約467万人に約4650万個販売され、今年5月から自主回収されている。せっけんの中の小麦由来成分「加水分解コムギ末」が原因とみられている。小麦のたんぱく質を酵素や塩酸を使って細かく分解したもので、保湿性が高く、多くの化粧品の原料に使われる。ただ、作り方は原料メーカーによって異なり、分子量にも違いがある。診断できる医療機関や詳しい情報は、サイト「小麦加水分解物含有石鹸『茶のしずく』を使用したことにより発症する小麦アレルギーに関する情報センター(http://www.allergy.go.jp/allergy/flour/index.html)へ。