脱ケミカルデイズ

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アスベスト大気汚染調査と飛散防止法改正

2012年05月27日 | アスベスト

朝日新聞2012年5月16日 石綿飛散防止 法改正へ 環境省濃度測定を義務化

 

解体工事現場でアスベスト(石綿)が飛散する問題が東日本大震災の被災地など全国で生じていることから、環境省は大気汚染防止法を改正し、ずさんな工事への監視を強める方針を固めた。来年の通常国会に改正法案の提出を目指す。現場への立ち入り検査を強化し、アスベスト濃度測定を業者に義務づける対策が柱になる。

アスベストを含む建物の解体や改修時には、自治体への事前の届け出や、現場をシートで覆うなどの飛散防止策をとることが、大気汚染防止法で義務づけられている。だが、コスト削減や作業短縮のため、こうした手続きや対策をとらない業者も少なくないとみられ、規制強化を求める声が自治体などから出ていた。

国や自治体は現在、届け出があった業者の現揚にしか立ち入り検査をする権限がない。そのため、アスベスト使用の有無を事前調査せず、届け出を怠っている工事現場には立ち入れない、という課題があった。法改正で、届け出の有無を問わず立ち入れるように権限を拡大する。さらに、工事現揚周辺でのアスベスト濃度の測定を、ビルなどの解体・改修業者に義務づける方針。測定結果を評価するための新たな基準作りにも取り組む。

アスベストの飛散は長年懸案だったが、被災地でも課題となっている。仙台市では昨年11月、被災して閉鎖されたホテルで、業者がアスベストの除去をしないまま解体を進め、世界保健機関(WHO)が定めた基準の36倍というアスベストが周辺に飛散していることが市の調査で確認された。環境省調査では、東日本大震災で被害を受けた8県の工場やビルなど20カ所の解・改修現場のうち、宮城、茨城、栃木の3県の4カ所で飛散が確認されている。同省は18日、中央環境審議会大気環境部会で法改正について意見を求める。6月にも専門家の会合を立ち上げて検討を始める方針だ。(岩井建樹)

アスベスト(石綿) 繊維状の天然鉱物で熱や摩擦に強く、1960~80年代を中心に、断熟材などとして広く使用された。粉じんを吸い込むと中皮腫や肺がんなどを発症する恐れがあり、数十年という潜伏期間の長さから「静かな時限爆弾」と呼ばれる。2005年、兵庫県にある大手機械メーカー・クボタ工場の元従業員や周辺住民に健康被害が多発していることが判明。国は06年、周辺住民らを救済する石綿健康被害救済法を制定した。

 

環境省2012年5月15日 平成23年度アスベスト大気濃度調査結果について(お知らせ)

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15230

 石綿による大気汚染の現状を把握し、今後の対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供していくため、大気中の石綿濃度の測定を平成17年度より毎年実施しています。今般、平成23年度の測定結果を取りまとめました。
 平成23年度は全国54地点、161箇所を対象に測定を行いましたが、石綿以外の繊維も含む総繊維は特に高い濃度は見られませんでした。
 なお、引き続き石綿による大気汚染の状況を把握するため、平成24年度も大気環境モニタリングを行う予定です。