脱ケミカルデイズ

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スマホ普及で電磁波被害への懸念が増える

2012年05月16日 | 電磁波

朝日新聞2012年4月5日 スマホ 気になる電磁波 

スマートフォン(スマホ)は多くの電磁波を発し、健康によくない――。そんなうわさが、利用者の間に広がっている。実際は従来の携帯電話の電磁波と同じ。業者は「従来型と同様に安全」と説明するが、世界保健機関(WHO)が携帯電話全般の健康被害について調査を始め、臆測が続いている。

うわさ「体によくない」 各社「携帯同様に安全」

 「小さなパソコンであるスマホは携帯電話以上の電磁波を発し、危険度が増大する」「ブームのスマホの電磁波が強烈だそうです」ネット上には今、そんな書き込みが相次いでいる。東京都内の携帯ショップを訪れた男子高校生(18)は、ネットで調べ物をしたり、ツイッターをチェックしたりするため、1日1時間ほどスマホを利用するといい、「ときどき普通の携帯よりも、体に良くないのかなって思う」。

 携帯電話の売れ行きを調べるMM総研によると、スマホの2011年度の出荷台数は、前年度比約2・7倍の2340万台(推定)。全体の55・8%で、初めて過半数となった。販売台数の急増に伴い、健康被害を心配する利用者も増えているとみられる。

 携帯電話が出す電磁波について、国が定める人体への許容範囲は国際的なガイドラインと同水準で、側頭部が吸収する電波のエネルギー量を基準にしている。同じ基準がスマホにも適用され、NTTドコモ、ソフトバンクモバイル、KDDI(au)各杜は「スマホだからと言って心配する必要はない」などと安全性を強調する。

 スマホの健康被害を危ぶむ声が続くのはなせか。一因とされるのが、持ち運ぶ時や身体に密着して使う場合、「1・5センチ以上離す」といった説明書の一文だ。ソフトバンクが06年から、米国の基準にならい、すべての携帯電話に記載。ドコモも10年10月、KDDIも昨夏から載せている。時期がスマホの急増期と重なったため、「スマホだけ記載されている」と勘違いした人が少なくないようだ。

WHO来年にも評価

 携帯電話の電磁波による健康への影響をめぐって.は、総務省が97年から調査を実施。脳腫瘍や聴覚神経のがんとの関連性は見つからなかった。同省電波環境課は「スマホを含む携帯電話による健康被害は確認されていない」という。

 ただ、同課によると、「熱作用」の影響は確認されている。強い電波が引き起こす体温上昇が、体に有害な作用を及ぼす恐れがあるという。国が定めた基準も、熱作用を防ぐことを目的に設けられている。

 とはいえ、携帯電話の電磁波が生物に与える影響はある、とする指摘は世界各国で発表されている。WHOの国際がん研究機関(IARC)は昨年5月、「(発がん性の)可能性があるかもしれない」との分析結果を発表した。WHOは2013年にも、総合的な健康リスクを評価する。その結果は世界から注目されているといい、総務省も「新たな健康被害が認められた場合、国内の基準も見直すことになるLとしている。

基準再考「慎重に」専門家

 携帯電話が発する電磁波と発がん性との関連について「可能性があるかもしれない」としたIARCの発表に対し、WHO職員だった「電磁界情報センター」(東京)の大久保千代次所長は「重要なメッセージだが、あくまでもリスク評価までの第一段階」と指摘。「慎重に研究を続ける必要がある。基準の見直しの判断は、WHOの結論が出るまで待ったほうがいい」と話す。

 一方、「『16歳以下は使用を制限すべきだ』とする勧告」(英国)「14歳以下の子ども向けの携帯電話の広告はすべて禁止」(フランス)と、子ども向けの規制を設けた国もある。一般的に子どもの方が抵抗力が弱いための措置とされる。

 携帯電話の電磁波の調査を続けてきたNPO法人「市民科学研究室」(東京)の上田昌文代表は「被害の可能性があるかもしれないと国際的にも指摘されているのだから、杜会全体でどういう使い方をすべきか再考する必要がある」と訴える。(岡戸佑樹)

 

体こ受ける携帯電話の電磁波を滅らすには

・イヤホンマイクを使い、体から離して通話する

・通話の送受信時は、相手とつながってから耳に当てる

・受信状況の悪い場所では、携帯電話を使用しない

・緊急な用事以外は、極力メールでやり取りする


中国で医療用カプセルに廃材ゼラチン

2012年05月16日 | 中国

読売新聞2012年4月17日 薬カプセルから基準90倍超の重金属…中国

【北京=大木聖馬】中国中央テレビによると、中国で製造された医薬品に用いるカプセルの原材料に、皮革品の廃材から製造した工業用ゼラチンが違法に使用され、カプセルから重金属のクロムが基準値を大幅に超えて検出されたことがわかった。

 国家食品薬品監督管理局は16日、基準を超えるクロムが検出されたカプセルの販売と使用禁止を命じる緊急通達を出した。

問題の原材料は、中国で生産される年間1000億個のカプセルのうち、約3分の1を生産する浙江省新昌の工場などから発見された。国の基準では、カプセル1キログラムあたりのクロムの許容量は2ミリグラムだが、基準の90倍以上のクロムが検出されたものもあった。

工業用ゼラチンの製造工場では、汚れて異臭を放つ皮革の廃材を強酸性、強アルカリ性の溶液などで洗浄した上、煮詰めて透明なゼラチン状のものを抽出するなどして製造しており、これら違法の原材料を使えば、約3分の2の値段でカプセルを製造できるという。

 


茶のしずく石鹸 アレルギー発症で被害者が集団提訴

2012年05月16日 | 化粧品

毎日新聞 2012年4月20日 茶のしずく石鹸:賠償70億円求め被害者が一斉提訴

 化粧品製造販売会社「悠香」(福岡県大野城市)が販売した「茶のしずく石鹸(せっけん)」の旧製品を使用し重度の小麦アレルギーを発症したとして、購入者らが20日、製造物責任法に基づいて悠香と製造販売に関わった2社の計3社に損害賠償を求める訴訟を東京地裁など全国15カ所で一斉に提訴した。全国の原告は男女535人、請求総額は約70億4000万円に上る。

 ほかに提訴されたのは、石鹸製造販売会社「フェニックス」(奈良県御所市)と化学製品製造会社「片山化学工業研究所」(大阪市)。

 訴状によると、購入者らは04年3月〜10年9月に出荷された茶のしずく石鹸を使用し、製品に含まれていた小麦由来成分「グルパール19S」により小麦アレルギーを発症。顔がはれたり、重いケースでは呼吸障害や意識障害も起きたとされ、日常生活で小麦を使った食品を食べられないなどの影響が出ているとしている。

 石鹸は、悠香が企画しフェニックスに製造を委託。片山化学工業研究所がグルパール19Sを製造してフェニックスに納入していた。購入者らは「3社が共同することで欠陥が発生しており、製造物責任がある」と主張している。

 

朝日新聞2012年4月21日 元の体に戻して 茶のしずく提訴 小麦アレルギー「一時は死の危機」

せっけん「茶のしずく石鹸」の旧商品による小麦アレルギーは、意識不明や呼吸困難、全身の腫れなど、日常生活にも支障をきたす重い症状に悩む人も多い。「まさか、せっけんでこんなことに」。被害者たちは再発防止を願い、訴訟に踏み切った。

 「一時は死の危険も感じた。被告には、誠意を見せてほしい」

 東京弁護団が都内で開いた会見に参加した原告の30代主婦は、切々と語った。2010年1月にせっけんを購入し、使い始めて数日でまぶたが腫れるよう.に。2月、ハンバーガーを食べた後に全身が腫れ、病院へ行ったが、運動を制限されただけだった。4月、パスタを食べた後に再びショック症状が。体の腫れとかゆみ、下痢や吐き気に襲われ、病院では「気管支が腫れ、もう少しで呼吸困難で死ぬところだった」と言われた。その夜は、意識が混濁した状態が続いた。

 せっけんのせいだとは思いもよらなかった。9月に別の医師の診察を受け、ようやく原因がわかったという。「きれいになりたい一心で使っただけなのに、こんなことになるなんて」今も小麦を食べられず、だるくて仕方がないこともある。友人と出歩く機会も減った。「情報もなく、毎日苦しみ続けた。こんな危険性があることを知ってほしい」

 別の原告の女性(64)は、05年から使い始めた。5年ほど経ってショック症状を起こして自宅で倒れたという。今も小麦は食べられず、夫とは食事も別々だ。「お金の問題じゃない。体を元に戻してほしい」悠香は、せっけんに含まれる小麦由来成分がアレルギーの原因である可能性があるとして、10年12月に使用をやめた。だが、自主回収に踏み切ったのは11年5月。原告の中には、この間に発症した人もいる。東京都中央区の主婦(34)は、11年1月に発症した。昼食にパスタを食べて30分後、電車の中で突然前が見えないほど顔が腫れ上がった。タクシーで病院へ。一カ月ほどして小麦アレルギーであることはわかったが、せっけんが原因と知ったのは、悠香による自主回収が報道されてからだ。生活は大きく変わった。食事は家で、和食中心。外食先でみそ汁にふが入っていたことに気づかず、発症したこともある。好きだったケーキもランチのパスタも、食べられなくなった。悠香からは、せっけんの代金が返ってきただけ。

「損害賠償を勝ち取れても、支払い能力はないかも。でも、せめてきちんと情報を開示して、謝罪してほしい」と話す。

恒久的な対策を

PL訴訟に詳しい中村雅人弁護士の話

 今回は被害者が多く、森永ヒ素ミルク事件などに並ぶ社会問題と言える。原告側の壁になりそうなのが因果関係の証明だ。本当にせっけんだけでアレルギーを発症したのかという点は争点になり得る。メーカー側は、出荷時点の世界最高の科学水準で欠陥を発見できなければ免責されるが、認められたケースはない。訴訟を通じて金銭的補償が認められても、健康管理手当を支給するなどの恒久対策にも目を向ける必要があるだろう。

国の対応追及も

 被害が広がった一因には、厚生労働省と消費者庁の対応のまずさもある。厚労省は2010年10月、医療機関からの発症者の報告が計21人になったことを受け、小麦由来成分を含むせっけんや化粧品のメーカーに注意喚起などを通知した。だが、いずれの被害も茶のしずく石鹸で発生していることは伏せた。

 消費者庁は同月、厚労省から被害発生を伝えられたが、商品名、症例数、発生日時や場所などのデータがなかったため、そのままに。注意喚起は8ヵ月後の11年6月にずれ込んだ。、この日の東京弁護団の会見で、中村忠史事務局長は「厚労省と消費者庁の責任追及も検討している」と述べた。

 

朝日新聞2011年11月15日 「茶のしずく」被害深刻 石鹸に小麦由来成分 アレルギー470人

延べ約467万人に約4600万個販売され、小麦由来成分による重いアレルギー症状を引き起こすとして自主回収中の悠香(福岡県)の「茶のしずく石鹸」の旧商品をめぐり、発症者が471人に上ることが、厚生労働省のまとめでわかった。うち66人は、救急搬送や入院が必要な重篤な症例で、一時意識不明に陥った例もあった。

 

重篤66人 意識不明も

 4日にあった厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会で、10月17日までに悠香から報告のあった件数が示された。一方、日本アレルギー学会には千件を超す症例が報告されているといい、被害件数は増える可能性がある。

症例は、全身の腫れや呼吸困難など。小麦アレルギーが元々なかった人も、アレルギーの原因物質が目や鼻の粘膜などに毎日少しずつ付着することで、発症することがあるという。原因となった小麦由来成分は様々な石鹸や化粧品で使われているが、悠香と同じ小麦由来成分を使っていた10杜が33商品計380万個余を自主回収している。

 各地の消費生活センターには14日現在、健康被害の相談が936件寄せられている。「昨年11月と今年2月に呼吸困難の発作を起こし意識不明の重体になった」(兵庫県・60代女性)▽「パンなどを食べた後に運動をすると両目の腫れやじんましんの症状が出る」(熊本県・40代女性)――などだ。

日本アレルギー学会に薮告された症例は、医師の診断書つきが約300件、自已申告が約900件に上る。症状は問題の石鹸を使うのをやめると改善に向かうが、根本的な治療方法は見つかっていないという。北海道、東京、大阪、福岡など13都道府県で被害弁護団が結成され、仙台地裁では損害賠償を求める訴訟が起きている。悠香はお客様窓口(0120・112・266)で、交換返品や被害の相談に応じている。

 

遅れた自主回収

 被害の広がった背景には、悠香の自主回収の遅れや、厚労省も含めた注意喚起の不徹底がある。この問題に詳しい国立病院機構相模原病院(相模原市)の福冨友馬医師らが、学会で健康被害を初めて報告したのは2009年10月。10年3月には悠香から原材料のサンプルの提供を受けていた。同年9月、厚労省が医療機関から最初の11人の症例報告を受けたのとほぼ同時に、悠香は小麦由来成分を除くとして、医薬部外品の申請を出し直した。悠香は「原因について十分認知していたものではない」としているが、福冨医師は「症状との関連性をある程度は認識していたはずだ」と指摘する。

 厚労省は翌月、小麦由来成分を使った石鹸や化粧品のメーカーに注意喚起を通知。だが、茶のしずく石鹸で計21人の症例が報告されていることは伏せられた。同省医薬食品局安全対策課は「公表対象の事業者の利益や信用を考慮する必要があった」と説明する。

 悠香は同12月8日、小麦由来成分を除いた石鹸の販売を開始。同11月から今年4月にかけて計3回、約369万通のダイレクトメールを送り、注意を促した。しかし、ここでも茶のしずく石鹸で症例が出たことは明記されなかった。

 厚労省にはその後も発症者の報告が止まらず、悠香は5月20日、ようやく自主回収に踏み切った。このとき初めて世間に商品名が公表された。これを機に、各地の消費生活センターへの健康被害の相談件数は急増。それ以前は約7年間で31件だったが、以後は約900件に上る。国民生活センターの担当者は「石鹸の危険性が購入者に伝わっていなかった」と批判する。(茂木克信)

朝目新聞デジタルに自主回収⑥中の33商品

 

「茶のしずく石鹸」自主回収をめぐる流れ

2009

10月29~31日 日本アレルギー学会で初の健康被害の報告 

2010

9月16日 厚生労働省に医療機関からの11人の症例報告。厚労省が健康被害発生を初めて把握

9月17日 厚労省が悠香に連絡。ほぼ同時に悠香は小麦由来成分を除いた商品に変更すると厚労省に申請

10月15日 厚労省が小麦由来成分を含む石鹸や化粧品のメーカーに対し、購入者への注意喚起徹底を通知

10月20日 悠香がホームページで購入者に注意喚起

12月8日 小麦由来成分を除いた商品の販売開始

2011

5月20日 悠香が10年12月7日以前に販売した商品の自主回収を発表

 

 

アレルギーの診断基準

・使用後30分以内にかゆみや鼻水が出る

・小麦を食べると目や顔のかゆみや腫れが出る、など

診断できる医療機関

http://www.allergy.go.jp/allergy/flour/003.htmlで公開

(日本アレルギー学会による)

 

茶のしずく石鹸

 化粧品販売会社の悠香が2004年3月に発売。テレビCMに有名女優を起用し通信販売でヒットした。60グラムで1個1980円。昨年12月8日に小麦由来成分を除いた商品に変更された、自主回収対象の約4600万個のうち、約150万個が回収され、同社は「使われていない分はほば回収できた」としている。