日経新聞2015年6月29日
台湾火災、粉じん爆発か 噴射のパウダーに引火
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG28H4X_Y5A620C1000000/
【台北=共同】台湾北部、新北市にある遊園地のプール「八仙水上楽園」で27日、イベントの最中に噴射したカラーパウダーに引火した火災で、消防当局は28日、やけどの負傷者が20代と30代の日本人女性2人を含む計498人となったと発表した。うち202人が重傷という。
2人の日本人は入院中で、いずれも重傷。日本の対台湾窓口機関、交流協会台北事務所によると、2人は友人。身元などは明らかにしていない。
火災は27日午後8時半(日本時間同9時半)すぎに発生。プールサイドに設置された舞台での音楽イベントで、集まった観客に向けてカラーパウダーを吹き付けた際、可燃性のパウダーに何らかの理由で引火した。
消防当局幹部は28日の現場検証の合間に取材に応じ「たばこの吸い殻や照明などから発火した」可能性に言及。空中のパウダーに瞬時に燃え広がった「粉じん爆発」の可能性があるとの見方を示した。
地元テレビは、パウダーの噴射直後、舞台前で音楽に合わせて踊るなどしていた水着姿の若者ら数百人の間に炎が広がった様子をとらえた映像を報じた。若者らは悲鳴を上げながら逃げ惑い、ある女性は青ざめた表情で「地獄のようだった」と話した。
台湾当局は28日、公共活動での同種パウダーの使用を当面禁止すると決定。警察当局は過失傷害などの疑いで主催者らの事情聴取を始め、朱立倫市長は遊園地の営業停止を命じた。
産経WEST2015年6月29日
人気のカラーパウダー・イベントは「危険」、粉塵爆発起こしやすい…台湾火災で専門家が警鐘 http://www.sankei.com/west/news/150628/wst1506280069-n1.html
台湾の娯楽施設で27日起きた火災の原因となったとみられるカラーパウダーは、コーンスターチをカラフルに着色した粉末で、パウダーを全身に浴びながらランニングなどを楽しむイベントが国内外で人気を集めている。しかし、大気中に浮遊した状態の粉末は酸素が十分行き渡って粉(ふん)塵(じん)爆発を起こしやすくなるといい、専門家は「大変危険な行為と言わざるを得ない」と警鐘を鳴らしている。
「事故の恐れがあるとは知らなかった。もし、自分たちが開いたイベントであんな事故が起きたらと思うと恐ろしい」。昨年3月にパウダーを使ったイベントを実施した千葉県内のテーマパークの担当者はこう話した。イベントでは、集まった約8千人の参加者に、バケツに入ったパウダーをスタッフが手づかみで大量にまいたという。火気を使わないようにという注意喚起は特に行っていなかったといい、「そうした危険があるとは思わなかった」(担当者)と話す。
関係者によると、パウダーを散布するイベントは、欧米などで若者を中心に人気を集めており、国内でも東京や大阪で開催されている。コーンスターチは口に入っても人体には無害のため、多くのイベントで「安全」をうたっているが、爆発の危険性はこれまで、ほとんど指摘されていなかった。
粉塵爆発に詳しい東北大名誉教授の榎本兵治氏によると、細かい粉状の物質は、コーンスターチに限らず、砂糖や小麦粉のような食品でも、金属粉であっても、空気中に散布され、酸素が十分に行き渡った状態で火気に触れれば、爆発することがあるという。榎本氏は、「どこで起きても不思議ではない事故だ。同種のイベントは見直しも必要ではないか」と指摘した。