古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第二十二章 扱い済み證文之事、其の二十四

2014年06月20日 08時04分10秒 | 古文書の初歩

 

 

「曖済證文之事」第六頁、上の三~四行目

 

解読  右之通双方納得之上往々申分無之

     下タ方ニ而相済申候而済證文双方へ取替シ

読み  右の通り双方納得の上、往々申し分これ無く

     した方にて相済み申し候て、済まし證文双方へ取り替わし

解説  「右之通」・・・「通」が難しい。前行にも出ています。 「納得之上」・・・「得」も難しい崩し字ですが、「候得共」でよく出て来る字です。「上」も画数は少ないけれども難解。 「往々」・・・諸所方々と言う意味から、「どこも」。 「申分」・・・申し分。言い分。文句。 「無之」・・・これ無く。文意。双方納得済みの上、何の不満も無く。 「下タ方ニ而」・・・下級の者にて。上(役人)の判断ではなく、村の庄屋クラスで。 「相済申候而」・・・相済みまして。解決致しまして。 「済證文」・・・済まし證文。解決したと言う証書。 「取替シ」・・・取り交わし。「替」が難しい。


第二十二章 扱い済み証文の事 其の二十三

2014年06月19日 06時00分44秒 | 古文書の初歩

 

 

「曖済證文之事」第六頁、上の一~二行目

 

解読 一、右之外数ヶ條有之候へ共、右ヶ條ハ是迄

    之通上下とも支配之筈。

読み 一つ、右のほか数ヶ条これ有り候えども、右カ条は是まで

    の通りかみしも共支配の筈。

 

解説 本文最後のひとつ書きになります。 「右之外数ヶ條有之候へ共」・・・右に書いた他に数ヶ条の取り決めが有るが。 「右ヶ條ハ」・・・右に述べた条文は。「ヶ條」・・・箇条書きの「箇条『かじょう』」。 「是迄之通」・・・読むのは困難ですが、何度も出ています。 「上下とも」・・・『かみしも共』。上村と下浦両村共。 「支配」・・・取り締まる。統治する。 「之筈」・・・の約束である。 


第二十二章 扱い済み証文の事 其の二十二

2014年06月18日 05時56分25秒 | 古文書の初歩

 

「曖済證文之事」第五頁、上の九~十行目

 

解読 候得者、田并浦と書付有之候を、重而修覆

    之節田并上下と相糺シ申筈相極メ申候。

読み 候えば、田並浦と書き付けこれ有り候を、重ねて修覆

    の節、田並上下と相ただし申す筈、相決め申し候。

解説 (持ち合いの儀に)候得者・・・そうらえば。「候」はともかく、「得」も「者」も難しい崩し方です。文章の流れで読みましょう。tの様な字が「者」・・・「は」です。 「田并浦」・・・田並浦。 「書付」・・・「書」の崩し書体は形で覚える字。 「有之候を」・・・「之」の次の点が「候」です。田並浦と書き付けているのを。 「重而」・・・重ねて。再度。 「修覆」・・・修理。修繕。 十行目は用紙の継ぎ目で中央に線が入ったように映っています。御判読下さい。 最初は「之節」・・・の時。の際。 「田并上下」・・・田並上下。田並かみしも。 「相糺シ」・・・相正し。正しくする。 「申筈」・・・正しくすると言う約束。取り決め。 「相極メ申候」・・・決めました。

文意、お宮の棟札に、田並浦とのみ書き付けた件は、お宮の棟へ納めている状態なので、其の通りにして置く。但し、田並上下持ち合いであるので、田並浦と書き付けているのを次回修復の際に田並上下と修正する約束をし、取り決めた。


第二十二章 扱い済み証文の事 其の二十一

2014年06月17日 06時37分12秒 | 古文書の初歩

 

「曖済證文之事」第五頁、上の七~八行目

 

解読 一、氏神棟札之儀、是迄ハ氏神へ納有之事ニ

    候得者、其通ニ致置。尤田并上下持合之儀ニ

読み 一つ、氏神棟札の儀、是迄は氏神へ納め是有る事に

    候えば、其の通りに致し置く。尤も田並上下持ち合いの儀に

 

解説 「一」・・・一つ。七番目の一つ書き。現在では(七)と書くところです。 「氏神棟札之儀」・・・氏神の棟札の件に関しては。 「是迄ハ」・・・今までは。「是」も「迄」も難しいですが、何度も出ています。 「氏神へ納め是有る事に候得者」・・・神社の棟の内部へ納めている事でもあるので。 「其通ニ致置」・・・取り出して確認するような事はせず、そのままにして置く。「其」も「致」も「置」もとても難解です。 「尤」・・・「去」にも見えますが、「尤も」が正しい。 「田并上下持合」・・・『田並かみしも持ち合い』、田並上村と下村両村共有・両村共通。 


第二十二章 扱い済み証文の事 其の二十

2014年06月16日 05時17分37秒 | 古文書の初歩

 

 

「曖済證文之事」第五頁、上の第五~六行目

 

解読 奥入相引場所之外ハ是又是迄之通

    上村勝手次第ニ引候筈。

読み (際限より)奥、入り相引き場所の外は是又、是迄の通り

    上村勝手次第に引き候筈。

 

解説 「右際限より奥」・・・右に述べた「東西共野合見通し」と言うのは、上村下村の境界線を意味するものと思われます。 「奥」・・・境界の奥。つまり北側。 「入り相引き場所」・・・相互に入って引いてもよい場所。 「外」・・・この字も難しいが、何となく形で分かります。 次は「是又是迄」と重なりますが、読むのは困難です。「迄」は異体字で「占」にシンニョウです。 最後は「之通」。 六行目最初は、「上村勝手次第」・・・こちらの「次第」の方が読みやすい。 「引」の下に「候」が有ります。勝手次第に引いてもよいと言う約束。