古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第八章 レディ・ワシントン号・その二十

2011年10月26日 09時38分53秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

 

淑女ワシントン号第七ページ(上の写真の五行目と六行目)

解読  遠眼鏡ニ而無油断見切、若替り品も候ハゝ

    早々可相達旨、若山表奉行衆より申来候間、

読み方 遠めがねにて油断無く見切り、もし替わり品もそうらわば

    早々相達すべき旨、若山表奉行衆より申し来たり候あいだ、

解説 「遠眼鏡」・・・望遠鏡。 「ニ而」・・・にて。 「無油断」・・・下から返って「油断無く」と読む。 「若」・・・もし。 「替り品」・・・変わった様子。 「可相達旨」・・・下から返って「相達すべき旨」。報告するよう。 「若山表」・・・役所の有る町を「表」と呼びました。この「表」も分かりにくいです。 「奉行衆」・・・奉行という役職の武士。奉行連中。この「衆」も崩し過ぎです。 次は「より」。  「文意」・・・望遠鏡で油断無く見張り、もし変わった様子があれば、早々報告すべき旨、若山の奉行衆から言って来ているので、」

 

 

 

 

 

 


第八章 レディ・ワシントン号・その十九

2011年10月25日 10時00分24秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

 

淑女ワシントン号第七ページの三行目、四行目

解読  候旨、注進申出候事候。且又右舩漂流ニ付

    遙沖合ニ右躰之舩ハ相見へ不申哉、日々

読み方  候旨、注進申し出で候事に候。且つ又右船漂流に付き

     遙か沖合に右ていの船は、相見え申さざるや、日々

解説  最初の縦棒は候で、右の点はキズと思われます。 その次は「注進」前に出ました。 「申出」の次は、「候ことに候」という丁寧な言い方です。 「且つ」も分かりにくい字です。 「又」も「入」に見えます。 「漂流」の次は「ニ」と読むのは無理ですが、この書き役の癖と思われます。二行目の最後「躰ニ」も同じ癖でしょう。 「四行目の最初は「遙」。 「右躰之舩」・・・右記のような船。 「不申哉」・・・申さざるや。「哉」=「や」は疑問を表す助詞。 文意・・・汐懸かりしている様に見えますとの報告がありました。又この船がうろついている件に付き、遙かな沖合いにその様な船が見えないか、毎日、・・・


第八章 レディ・ワシントン号 その十八

2011年10月24日 09時41分50秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

 

淑女ワシントン号第七ページ(上の写真の一、二行目)

解読  辰巳沖へ向まきれ出候処、東風強候故歟又々

    走戻り、大嶋浦上之口へ汐懸り致候躰ニ相見へ

読み方 辰巳沖へ向かいまぎれいで候処、東風強く候故か、又々

    走り戻り、大嶋浦上ミの口へ汐懸かり致し候ていに相見え、

解説  「辰巳」・・・東南の方角。 「向まぎれ出」・・・風に逆らって帆走するさま。 縦棒は「候」。 「東風」の次は「強」、次の点は「候」。 この「故」は一番ひどい崩し字で、しかも縦形で3の様な字になっています。横形でmのような字になるのが普通です。 次のnのような字は「歟」で「か?」。窮極の崩し方です。 二行目最初は「走戻り」。 「汐懸り」・・・「懸り」読むのは無理ですが、三度目ですから、文意で読めます。 「致候躰」の下の字は読めませんが、一応「ニ」と読んでおきます。次の行にも出ますが、この人の癖のようです。 最後は「相見え」。 

文意 異国船二艘は東南方向へ風に逆らって出て行ったが、東風が強くなってきたきた為か、又戻って来て、大嶋上口へ停泊したように見え、・・・


第八章 レディ・ワシントン号・その十七

2011年10月23日 09時01分28秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

 

淑女ワシントン号第六ページ(上の写真)

解読  一筆令啓候。然者、唐ら舩躰之舩弐艘とも下も

     筋へ乗行候躰ニ相見へ、樫野崎より三四里程も

読み方 一筆啓せしめ候。然れば、唐ら船ていの船二艘とも、しも

     筋へ乗り行き候ていに相見え、樫野崎より三、四里程も

解説  「一筆」の筆の字が大きく長く書いています。前と同じ。 「令啓候」・・・前回の「令啓達候」より更に格下の相手に対して用いる挨拶ですが、ここでは宛名は同じ西川氏です。いずれにしても読むのは難しいです。 「然者」・・・しかれば。「者」は「は」の変体かな。 「下も」・・・下に送り仮名「も」を付けています。「も」は「毛」の変体仮名です。  二行目最初は「筋」。「しも筋へ」。しも筋は、上行きの反対で、当時は関東方面行き、東の方向へ向かう事をくだりとか、しも筋へ行くとか言いました。 「乗行候」・・・乗っていくではなく、「走って行く」の意味です。


第八章 レディ・ワシントン号・その十六

2011年10月22日 09時35分51秒 | 古文書の初歩

 

 

 

淑女ワシントン号第五ページ(上の写真)

解読  (難計)候旨、大高源右衛門、稲葉七左衛門より申来候付

    仍之各為心得申越候。以上。 戸口与六兵衛

    四月三日 亥下刻出郡御役所二ツ印

           同 四日 申中刻着

読み方 (計り難く)候旨、大高源右衛門、稲葉七左衛門より申し来り候に付き

     これに依って、おのおの心得の為申し越し候。以上。

                    戸口与六兵衛『とぐちよろくべえ』

     四月三日 亥下刻 出 郡御役所二つ印

            同四日 申 中刻 着 

解説   大高源右衛門、稲葉七左衛門はいずれも藩の古座在勤目付と思われます。 「申し来たり」の次の点は「候」。 二行目一番上は「仍之」・・・「これに依って」。 「各」・・・おのおの。 「為心得」・・・心得のため」。いずれも読むのは難しい字です。 「申越」・・・申すはアルファベットのPと言う字に見えます。 「越」の下に「候」。その下に「以上」が有ります。 「戸口与六兵衛」は和歌山藩の周参見代官。 日付は「四月三日」ですが、月も日も難解です。 その下の小さい文字の但し書きは、上の写真では読むのはむりですが、「亥下刻」は深夜十一時頃。 次は「出」・・・出状の意味。 「郡御役所」・・・周参見代官所」。 「二つ印」・・・緊急度・重要性の二番目を表す。「印」という字は一部欠けているので読むのは無理です。文章の流れから読みます。 但し書きの二行目、最初は「同」(四月の事)。 「四日」 「申中刻」は午後四時。 最後は「着」・・・書状到着の日時。