古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第七章 異国舩騒動・その十三

2011年10月06日 09時10分15秒 | 古文書の初歩

 

 

異国舩騒動の第四ページ『上の写真の五行目以降』

解読

仍之申越候。恐々謹言。

               大森十郎兵衛

     八月十四日未下刻

     西川松蔵殿

読み方

これによって申し越し候。 恐々謹言『きょうきょうきんげん』

      大森十郎兵衛『じゅうろべえ』

   八月十四日未『ひつじ』下刻『げこく』

   西川松蔵殿

解説 この五行目は読むのは困難です。 「仍之」・・・これによって。覚え込むよりほかありません。 「申越」・・・これも困難です。 「越」の下の点が「候」。 その次の『乙』のような崩しは「恐」。その次は「々」。 最後は「謹言」。 「恐々謹言」又は「恐惶謹言」とは、手紙の終わりの挨拶言葉で、「恐れながら、謹んで言います。」『恐れながら謹んで申し上げます。』 はじめの文書の日付が八月十五日で、最後のページの日付が八月十四日になっていて、つじつまが合いません。ある時代の人がコピーするときなどに、順番が前後したのかも知れません。三つの文書とも、水崎沖に異国舩風の舟が現れて、どこの浦へ漂着するか分からないので、気をつけるようにとの郡役所から、尾鷲組他各組の役人宛に出した警戒警報のようなものです。時は寛政二年、一七九0年、今から二百二十一年前の話です。第七章はこれにて終了します。