古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第八章 レディ・ワシントン号・その二

2011年10月08日 09時33分51秒 | 古文書の初歩

 

 

淑女・ワシントン号の第一ページ(上の写真の始めから)

解読

一筆令啓達候。然者去廿七日古座組樫

野浦ニ唐ら舩躰之舩弐艘相見へ候由、村役人

共申出候旨大庄屋中西理左衛門より注進申出候。右為

読み方

一筆啓達せしめ候。然れば、去る二十七日、古座組樫

野浦に唐ら舩躰『からぶねてい』の船二艘相見え候由、村役人

共『ども』申し出で候旨、大庄屋中西理左衛門より注進申し出で候。『右為』

解説 手紙のはじめの言葉「一筆差し上げます」の書き方にも、相手によって色々区別があります。この「一筆啓達せしめ候」は、相手が同輩以下で、中の下の上の格の場合に使います。「令」は「せしめ」命令の「令」です。  「然者」・・・しかれば。「者」は「は」の変体仮名。 「樫野浦」・・・現在の串本町樫野地区。大島の一集落です。石造りでは日本最古の灯台が有り、トルコ軍艦「エルツールル号」の遭難場所でもあります。 「唐ら舩」・・・外国の船。「唐」は中国の古名ですが、明治時代まで日本では、外国のことを「唐」『からー』と呼んでいました。 「躰」・・・体の異体字、唐ら舩風の。 「弐艘」・・・「艘」はこのように崩します。 「相見へ」の次ぎに「候」があります。 「由」はこのように書きます。