淑女ワシントン号第三ページ(上の写真の五行~六行以下)
解読 (静)ニ而右之外、異変成義ハ無之由、大嶋浦より
申来候旨、中西理左衛門より注進出候。仍之申入候。恐惶謹言。
三月晦日 稲葉七左衛門
西川松蔵殿
読み方 (静か)にて右のほか異変成る義はこれ無き由、大嶋浦より
申し来たり候旨、中西理左衛門より注進、出候。これに依って申し入れ候。
恐惶謹言。 三月みそか、稲葉七左衛門、西川松蔵殿
解説 文意 (大砲、十五六発打ったが、空砲の様で、船中は静か)で、他に変わった点は無かったと、大嶋浦より言って来た旨、中西理左衛門から注進が出たので、申し入れます。敬具。三月三十日。稲葉七左衛門。 西川松蔵殿。
「異変」・・・「異」は「己の下に「大」と書いています。異体字です。 「成義」・・・なる義。 「無之由」・・・これ無き由。 「大嶋浦」の次は読めませんが、文の流れから「より」。 「申来」の次の点は「候」。 「注進」・・・前に出ました。 「仍之」・・・これも読むのは無理ですが、常套句です。 「恐惶謹言」も簡略化し過ぎです。 「中西理左衛門」は古座組大庄屋。 「稲葉七左衛門」は和歌山藩の古座在勤目付の一人だと推定されます。 西川松蔵は木ノ本組大庄屋。(前述) 役人はなるべく事を荒立てしないような報告を書いている様子が分かります。