古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第八章 レディ・ワシントン号・その三

2011年10月09日 11時43分59秒 | 古文書の初歩

 

 

淑女ワシントン号第一ページ(上の写真の四行目から)

解読

(右為)見届、小船漕出さセ候得ども、風多浪立海

上荒右舩之近所へ難乗リ旨申出候。翌廿八日海上

少し和候ニ付、見届之舩指遣し候処、古座浦黒嶋沖

読み方

右見届けの為、小船漕ぎ出させ候らえども、風多く浪立ち、海

上荒れ、右船の近所へ乗り難き旨、申し出で候。翌二十八日、海上

少し和ぎ『なぎ』候に付き、見届けの船、指し遣わし候処、古座浦黒嶋沖

解説 四行目の最初は「見届け」、前の行最後へ返って「見届けのため」となります。「見」も「届」も難しい字です。 「漕ぎ出さセ」・・・セは、イロハのロに見えますが、よく見ているとセに見えて来るから不思議です。 次の短い縦棒は「候」、「候得ども」と書いて「そうらえども」と読みます。 「風」の次は「多」、「浪立」と続きます。 「近所」の次ぎに小さく「へ」が有ります。 「難乗り」・・・乗り難き、乗り入れがたき。 「旨申出」・・・読みにくいです。「土」のような字は「出」。その下は「候」。この「候」はよく出てきます。 「翌」・・・「羽」と「立」が離れて長い字になっていますが、一字です。 「廿八日」も解りづらい。 「和」・・・凪ぎ。 其の下の「し」のような字は「候」です。 「見届」・・・今日の最初に出ました。 斜めのニのような字は「之」。 「指遣し候処」・・・指し遣わし候処。 「古座浦」の下は「黒嶋」です。 下の地図参照『串本町史より』

この図は、串本町史に載っている『米船侵入の図』です。黒島は古座河口一キロメートルに浮かぶ無人島で、黒嶋沖とは、黒島と大島の中間付近と推定されます。紀伊半島南端の串本は、同時に本州の最南端に位置します。江戸時代は、大島三浦『大島・須江・樫野』は北側の古座組に属していました。西側の串本浦・潮岬(上野浦)ほかこの図の左側は、江田組に属していました。昭和三十三年の合併で、東牟婁郡大島村は、西牟婁郡串本町大島となり、更に平成十七年に西牟婁郡串本町と東牟婁郡古座町が合併して、現在は、東牟婁郡串本町となっています。