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日本文化のユニークさ10:性善説人間観と日本の長所

2010年08月02日 | 侵略を免れた日本
かつて日本人の人間観・その長所と短所(1)というエントリーの中で岸田秀の『日本がアメリカを赦す日 (文春文庫)』の次のような主張を取り上げた。日本人は、ある種の人間観を前提として行動しているが、その前提についてはほとんど無自覚だというのだ。それは人間は、本来善良でやさしく、そして一人では生きることのできない弱い存在だから、互いにいたわり合い、助け合って生きていくしかないという性善説の人間観で、そんな人間観を前提にして日本の社会や規範は成り立っているというのだ。

ただし、このような日本人の人間観の致命的な欠陥は、それが言語化されていないということ、言葉で確認できる形で日本人に意識化されていないということだ。さらに日本人の問題は、このような人間観を他国や他民族にも共有される普遍的なもとの信じ込んで、行動することだ。しかし、日本人のような性善説に立つ人間観はむしろ例外的で、世界の大部分はそういう前提に立っていないから、日本の他国への期待は裏切られることが多い。それでトラブルが絶えない。岸田の説は、むしろそういう無自覚な人間観のマイナス面を強調していた。

しかし、「日本の長所」というシリーズを読んでいただいた読者の方々は、すでにお気づきのことと思う。10項目にまとめた長所の多くが、そのような性善説の人間観に関係しているらしいということを。

1)礼儀正しさ
2)規律性、社会の秩序がよく保たれている 
3)治安のよさ、犯罪率の低さ 
4)勤勉さ、仕事への責任感、自分の仕事に誇りをもっていること
5)謙虚さ、親切、他人への思いやり
6)あらゆるサービスの質の高さ
7)清潔さ(ゴミが落ちていない)
8)環境保全意識の高さ
9)食べ物のおいしさ、豊かさ、ヘルシーなこと 
10)外来文化への柔軟性

9)以外は、何らかの形で性善説の人間観に関係していると思うが、とくに2)~6)あたりは関係が深いだろう。人間の誠意や真情を互いに信頼することで、社会の「和」や秩序が保たれる。自分のわがままを抑えることで、相手も譲ってくれ、そこに安定した「和」の関係ができるという性善説を無意識のうちに共有しているから、規律や秩序、治安のよさ、謙虚さ、親切、思いやりなどが維持される。

では、こういう日本人の特徴はどこから来るのかと言えば、「日本文化のユニークさ」でまとめた、三つの特徴

(1)狩猟・採集を基本とした縄文文化が、抹殺されずに日本人の心の基層として無自覚のうちにも生き続けている。

(2)ユーラシアの穀物・牧畜文化にたいして、日本は穀物・魚貝型とで言うべき文化を形成し、それが大陸とは違うユニークさを生み出した。

(3)大陸から適度に離れた位置にある日本は、異民族(とくに遊牧民族)による侵略、強奪、虐殺など悲惨な体験をもたず、また自文化が抹殺される体験ももたなかった。

のうち、とくに(3)の特徴によるところが大きいことは、容易に想像つくだろう。この点は、次回もうしこし考察する。


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