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大災害と日本人:自然の豊かさと脅威の中で02

2012年12月27日 | 自然の豊かさと脅威の中で
東日本大震災と日本人(3)「身内」意識

日本では、自分たちの言葉や文化や習俗が根こそぎ奪われてしまうような、異民族による侵略はなかった。国内に戦乱はあったにせよ、規模も世界史レベルからすれば小さく、長年培ってきた文化や生活が断絶してしまうこともなかった。異民族との闘争のない平和で安定した社会は、長期的な人間関係が生活の基盤となる。相互信頼に基づく長期的な人間関係の場を大切に育てることが、日本人のもっとも基本的な価値感となった。

日本では、異民族による殺戮の歴史はほとんどなかったが、一方で自然災害による人命の喪失は何度も繰り返された。しかし、相手が自然であれば諦めるほかなく、後に残されたか弱き人間同士は力を合わせ協力して生きていくほかない。東北大震災の直後に見せた日本人の行動が、驚きと賞賛をもって世界に報道された。危機に面しても混乱せず、秩序を保って協力し合う日本人、それは日本の歴史の中で何度も繰り返されてきた日本人の姿であった。

豊かな森におおわれた島国であり、異民族の侵略を受けず、濃密な協力関係を保つことが稲作を可能にした。そんな国土が以下のような日本人の長所を作った。

1)礼儀正しさ
2)規律性、社会の秩序がよく保たれている 
3)治安のよさ、犯罪率の低さ 
4)勤勉さ、仕事への責任感、自分の仕事に誇りをもっていること
5)謙虚さ、親切、他人への思いやり

大災害に直面すると、いや大災害に直面すればさらに、上のような長所が際立つのだろう。それを世界は驚きの目で見るのである。

日本文化のユニークさ24:自然災害が日本人の優しさを作った

異民族間の戦争の歴史の中で生きてきた大陸においては、信頼を前提とした人間関係は育ちにくい。戦争と殺戮の繰り返しは、不信と憎悪を残し、それが歴史的に蓄積される。一方日本列島では、異民族による殺戮の歴史はほとんどなかったが、自然災害による人命の喪失は何度も繰り返された。しかし、相手が自然であれば諦めるほかなく、後に残されたか弱き人間同士は力を合わせ協力して生きていくほかない。こうした日本の特異な環境は、独特の無常観を植え付けた。そして、人間への基本的な信頼感、優しい語り口や自己主張の少なさ、あいまいな言い回しは、人間どうしの悲惨な紛争を経験せず、天災のみが脅威だったからこそ育まれた。

地震を筆頭に 日本の自然は不安定であり、 いつも自然の脅威にさらされてきた。それが日本人独特の 「天然の無常観」を生んだと指摘したのは、戦前の日本の物理学者であり、地震学者でもあった寺田寅彦である。自然が猛威を振るうと、ある種のあきらめの状態のなかで耐えるほかない。しかしそれは悲観的で絶望ではなく「天然の無常」ともいうべき自然感覚による、自然への対処だった。(『寺田寅彦随筆集 (第5巻) (岩波文庫)』)

「天然の無常観」の奥にあるのは、はかなさや悲しみに打ちひしがれてしまうのではなく、それを受け入れたうえで、残された者同士がいたわりあって生きていこうとする決意だ。諦念に裏打ちされた前向きな姿勢だ。東日本大震災後にもはっきりとそれが見られた。日本人は、「天然の無常観」を連綿と受け継いでいる。だからこそ、家族を失った被災者が「こんなときだからこそ元気に生きていきたい」と語り、日本中が力を合わせて立ち直っていこうという雰囲気が瞬く間に生まれるのだろう。

呉善花も近著『日本復興(ジャパン・ルネッサンス)の鍵 受け身力』のなかで次のようにいう。

「日本人は甚大な被害を与える大地震・大津波が何度も繰り返される歴史のなかで、深い悲しみを乗り越え『すっぱりと過去への執着を断ち切り、気分を一新して新しい世の建設へ向かう』という、「前向きの忍耐』を余程のことしっかり根付かせてきたのに違い。今回の東日本大震災で、多数の被災者・救援者の方々に共通に見られる対処の姿勢から、私は強烈に教えられた。」

彼女によれば、日本文化は基本的に受け身をモットーとする文化だという。受け止める力によって、造り直して足場を固め、前へと進む反復する力が、日本文化を形成してきた。日本文化は、天災であれ海外から来る先進文化であれ、外部からくるものを押しのけて排除するのではなく、しっかり受け止め、取り込むことで前へと前進していくエネルギーを常に保持してきたし、これからも保持していくだろう。であるなら日本の未来は明るい。

日本文化のユニークさ26:自然災害にへこたれない

日本人はなぜ震災にへこたれないのか (PHP新書)』(2011年7月出版)によると欧米人は子供を守る時、加害者に正対して立ち向かうが、日本人は子供を抱き、加害者に背を向けるという。この日本人の行動には、長い年月の間にすり込まれた「恐ろしく強いものには抵抗しない」という行動規範が隠されているのではないか。そして、この「戦わない」という行動こそ、意外にも、日本人が災害にへこたれない理由のひとつではないかと著者はいう。侵略を受けてこなかった日本列島の住民にとって「最大の恐怖」は、自然災害であった。そして自然災害を敵にし戦うことの愚かさを、日本人は熟知していたのだ。

子供を抱きかかえ敵に背を向ける姿勢が、自然災害の多さと本当に関係するかどうかは分からないが、そういう日本列島に何代にも渡って住み着いてきたことが、日本人独特の自然観・人間観や行動様式を作ってきたことは確かだ。たとえば今回の津波のような巨大な自然災害に対しては、戦うことも抵抗することもできず、ただ黙って受け入れ、耐えるほかない。身内が死んでも、財産の一切を失っても、誰を恨むでもなく、きっぱりと現実を受容したうえで、新たに生活を立て直すしかない。そういう経験を何度も繰り返してきたからこそ、災害にへこたれない強さも育まれたのではないか。

著者は、政府が無能でも、東北地方は着々と復興していくだろうという。日本人は、指導者がいなくとも、それぞれの持ち場を支え助け合い、現場での復興を成し遂げてしまう力を備えているのではないかという。私たちは、自分たちでは十分自覚していない災害に対する対処方法を身につけている。地震と津波のあとに見せた日本人の秩序維持や他者へのいたわりはまさにそれだ。これが海外のメディアでは、驚嘆をもって報道された。

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