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日本の不思議・災害を乗り越える優しさの力

2024年02月23日 | 自然の豊かさと脅威の中で
日本は豊かな自然と森に恵まれた島国であり、異民族の侵略を受けずに、長年平和に稲作農業を営んできました。ときに大きな自然災害によって、苦境に陥ることもありましたが、互いに助け合うことによって何度もその苦境を乗り越えてきました。稲作農業は、互いの信頼やそれに基づく相互の絆をさらに強めました。それが日本人の優しさを作り、その優しさ、互いに尊敬し合い助け合う精神が、たとえ大規模な自然災害を経験しても、力強く立ち直れる強さにつながっているのではないでしょうか。
★詳しくは、次のユーチューブ動画で語りましたので、そちらをご覧ください。
   ⇒日本の不思議:災害を乗り越える優しさの力

かつて埼玉県の公立高校で社会科の教師をしていたとき、多くのALT(assistant language teacher)と友達になりました。そして彼らが母国に帰る前に、日本での滞在中に感じたことについてアンケートをお願いしていました。その回答の中から二つ取り上げてみます。

たとえば、「 日本と、その国民、文化について、長所は何だと思いますか」という質問への答えは、「日本人は、とても親切で互いに気遣いあっているように思います。文化が「尊敬」を中心にして展開しているのは素晴らしいことだと思います。」

あるいは、「あなたの国の社会や文化と、日本のそれとのいちばん大きな違いはなんですか」という質問に対しては、「いちんばん大きな違いは、アメリカ文化が個人に根差した行動を重視するのに対し、日本ではすべてがよりグループ中心です。アメリカ人は、自分の意見をずばりと表明する傾向がありますが、日本人はもっと互いを尊敬しているように見えるところです。」等々です。

日本についてのこうした感想の中に「尊敬」という言葉がよく使われるのが、私はとても印象に残りました。インターネットや本の中でも、日本の良さを語るのにこの「尊敬」という言葉を使っているのをよく見かけます。たとえば、

「日本人に根付いている礼儀正しさを高く評価します。このような尊敬の念のある平和な態度は、日本のどこに行っても私を心地良くさせてくれる優しさと落ち着きを表しています。」(カナダ人)
「日本のコミュニティー精神です。ここの人たちはとても正直で、コミュニティーと個人の尊厳に非常に誇りを持っていると思います。そのため、コミュニティーは強固で、大変なときには互いに助け合います。」(南アフリカ人)

日本の良いところを説明するのに「互いに尊敬し合うところ」という風に、「尊敬」や「尊厳」という言葉を使うところが、私は印象に残りました。別の言い方をすると、ちょっと違和感がありました。その理由を考えると、たぶん私は、「個人の尊厳」「個人の自由の尊重」というように個人主義や自由主義の方にこそ、「尊重」「尊敬」「尊厳」などの言葉がなじむように感じていたからす。ところが、海外の人から見ると、個よりも集団を優先する日本人の態度の中に、他者への尊敬の精神を感じているらしいのです。

もう一例挙げます。日本に在住するアメリカ人の政治学者R・エルドリッチ氏がユーチューブのインタビュー動画で話したいたことです。彼は、22歳のときに英語の教員として兵庫県の多可町という小さな町に住み始めたました。日本酒の「山田錦」の発祥の地だそうです。彼はこう言います、「私は、個人主義で自己主張する国から来て、相手を考え、自分を控えめにする国、そして連携し、協力してものを作る地方の町に来て、特に田舎だったのでアメリカとすごく対照的で、すごく新鮮でした。そこが好きになり、そして日本人を好きになって、1年滞在の予定が2年になって、そして35年になって……。」

彼が好きな日本人の良いところとは次のような点だといいます。「自分を優先せずに遠慮して、相手を色々な形で優先したり、考えて、配慮する国民、非常に優しい国民。世界的にはそのように評価されている。これがおもてなしの精神に繋がるし、世界各地に日本のファンがいることにつながっている。」

エルドリッチ氏はここで「尊敬」という言葉は使っていませんが、自己主張が強い個人主義よりも、相手を様々な形で配慮したり、優先したりしようとするところに日本人の良さや優しさを感じているようです。それを別の言葉で言えば、相手への尊敬、互いの尊重ということであり、つまり、世界の人々は、自由や自己主張を優先する個人主義よりも、つねに周囲の人々を配慮しながら行動する日本人の優しさの中にこそ、互いを尊敬する精神を感じ取っているということでしょう。海外の人々が感じる日本人の良さとは、尊敬、尊重する精神、つまり、日本人の配慮の精神であり、優しさだったのです。

では、日本人の優しさはいったいどこから来るのでしょうか。ある意味でそれは、日本が、大陸から適度に隔てられた島国であるという特殊な地理的条件から来るとも言えるでしょう。ヨーロッパ大陸やアジア大陸などの大陸においては、異民族間の戦争や、侵略、虐殺が繰り返されてきました。そういう歴史の中では、信頼を前提とした人間関係は育ちにくいのです。戦争と殺戮の繰り返しは、不信と憎悪を残し、それが歴史的に蓄積されていきます。

一方、海に囲まれた日本では、異民族による大規模な侵略や殺戮をほとんど経験せず、自分たちの言葉や文化が根こそぎ奪われてしまうような体験もしませんでした。国内に戦乱はあったにせよ、その規模は世界史レベルからすれば小さく、長年培ってきた文化や生活が断絶してしまうこともありませんでした。異民族による侵略や虐殺のない平和で安定した社会は、長期的な安定した人間関係が生活の基盤となります。互いの信頼に基づく安定した人間関係を大切に育てることが、日本人のもっとも基本的な価値観となったのです。

一方で日本では、自然災害による大きな被害は何度も繰り返されました。しかし、相手が自然であれば誰を恨むこともできず、諦めるほかなりません。そして、後に残されたか弱き人間同士は力を合わせ助け合って生きていくほかないないのです。互いを尊敬し合って協力していくほかありません。東北大震災の直後に見せた日本人の秩序ある行動が、驚きと賞賛をもって世界に報道されたのを思い出します。
★続きは以下で御覧ください。⇒日本の不思議:災害を乗り越える優しさの力


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