ごめんなさい、また原発(2)

2011年05月17日 | 風の旅人日乗
午前2時。
さーて、朝までにひとつ仕事を仕上げてしまおうぜ、
と自分にハッパを掛け、
元気いっぱいで起きて、
パソコンを立ち上げてから、お湯を沸かし、
メールソフトを開いてから、お気に入りの熱いほうじ茶淹れ、
パソコンの前に座って、夕方から夜のうちに届いた
メールをチェックしていたら、
起き抜けの元気が一気にしぼんでしまう情報が、
ヨーロッパと日本を頻繁に行き来している、
ある日本企業の、関西在住の技術者から届いていた。

氏は、特に激しい原発反対活動家ではなく、
ごく普通の会社員であり、ごく普通のパパだが、
チェルノブイリ事故時にも
欧州を仕事で頻繁に訪れていたこともあり、
その当時のヨーロッパ諸国の、
放射性物質汚染への対応をつぶさに見てきた。
その目でもって、今回の日本政府の対応を見極めようとしているお方。

その、ヨーロッパの人たちが日本を見ている目を持つ氏の目で見た
現在の我々日本国民が置かれている事態を、
このブログを読みに来て下さっている皆さんとも
共有いたしたく、
氏のメールを以下に掲載します。

せっかくセーリングの話を楽しむために
このブログを読みに来てくださっているのに、
今日もまた、原発の話題になってごめんなさい。
明日以降は、すごく楽しいセーリング関係の仕事や打ち合わせが続くので、
きっと楽しいセーリングの話題になると思いますので、
申し訳ありませんが、もう一日、原発の話題にお付き合いください。

事実を積み上げただけの、
分かりやすいこのような情報を、
テレビ・新聞などのマスコミは、
なぜ読者(=国民)の側に立って知らせてくれないのだろう?


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チェルノブイリの退避基準に対し約5倍の線量となっている
大館村等の計画避難区域は、
人間だけでなく家畜も対象のようで、
乳牛や肉牛を避難させたい国の要望に、
東京大阪を含む24都道府県が受け入れを表明しました。
口蹄疫で辛い思いをした宮崎は
牛だけでなく豚も受け容れて支援するそうです。

テレビでは何も言いませんが、
この恐ろしいニュースが明らかになったのは先週後半です。

1986年の欧州で、
放出源から1,000km以上離れていながら
線量がわずかでも異常を示した地域の牛を
全数処分したドイツや、
政令で、フランス国境まで全ての牛を強制移動し
エサも管理下においたスイスの賢明な判断と違って、

わが日本政府は放射能の被害を国民皆で分かち合い、
いわば一億総被爆を推進する道を選びました。

世界有数の長寿国ならではの、
実に日本らしい、トンでもない愚かな判断です。

すでに、各牧場レベルでは
相当数の家畜が取引されているとのことです。

これで牛乳もダメ、肉もダメ、
乳製品やクッキー、チョコレート等のお菓子も
全部食べられなくなりました。

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以上が、氏が知らせてくれた、恐ろしい日本の現状です。

原発関係ニュースには
一生懸命目を通すようにしているワタクシですが、
日本における現在の政府の対応が、
チェルノブイリ当時の欧州各国の対応と
これほどまでに乖離しているとは、
まったく認識しておりませんでした。

現在の日本の国を動かしている
でたらめな人たちになんか期待しない、
などと口では言いながら
根っこのところでは、
同じ日本人なんだもの、でたらめはしないよね、
あなた方の能力の範囲内で、
なんとか国土と国民を守ろうとしてるんだよね、
という、淡雪のような期待は捨てていませんでした。

しかし、氏のメールを読むと、
マジで、彼らには期待しちゃならんのだ、
ということのようです。
自分の子どもは自分で守らにゃならん、
ということのようです。

自宅の小さなベランダに、福島の原発の事故以来
ただの観賞用になってしまっているパセリの鉢植えがある。
そのパセリに昨日突然、見たことのない大きな葉っぱが出てきた。

その、絶対にパセリだとは言わせない変な葉っぱは、
半日で、恐るべき成長を遂げている。

パセリのことは、ワタクシ好みのおいしい葉っぱである、
こと以外は知らないので、
この葉っぱは、この季節には当たり前に出てくる
そういう形の葉っぱなのかもしれないけど、

その葉っぱを見ていると、
井伏鱒二の『黒い雨』の中に、主人公が、
原爆被曝直後の広島市郊外で、
常態ではありえない、巨大な葉っぱを付けた植物(名前失念)を見て
静かに驚くくだりの文章があったのを、
つい思い出す。

メールを送ってくれた氏は、
焼肉店で死者を出した牛肉が、
福島県の業者から捨て値で買ったものだったと判明した
というニュースも教えてくれた。

これまで一度も死者を出していなかったO111が、
放射性物質によって性質を激化させた、
という推測もできるかもしれない、と氏は書いている。

文学者・井伏鱒二が目撃し、驚愕し、記録に残している
原爆直後の植物の突然変異のことを考えれば、
放射線量の多寡の問題とは関係なく、
ありえることのようにも思えてくる。

「ただちに健康被害を及ぼすものではない」
なんて、
おちょぼ口で言っているあんたたち、
どれほど放射性物質が動植物に与える研究をしてきたのさ?
神の領域に足を踏み入れてしまった、この科学の恐ろしい分野で、
神様に成り代わったかのような自信たっぷりのコメントをしているけど、
長く長く研究をし尽くした上でのコメントなの?

あー、外が明るくなってきた。
あーあ、もうこんな時間だ。
朝の爽やかな空気の中、
放射性物質を思いっ切り肺に吸い込みながら走りに行く時間だぜ。

仕事はできなかった上、
深夜料金とはいえ東京電力に払わなければいけない
電気代まで無駄遣いした。

同じ日本国民だからね、
なるべく言わないように努めているけどね、
本当言うとね、オイラはとても怒ってもいるんだよ、
やい! 東京電力!

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4 コメント

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TV報道の無責任ぶり (Koji)
2011-05-17 21:54:33
東電に遠慮して実質的には何も報道していない民放TVには飽きれてしまいます。一方、NHKに対しては一定の評価をして良い様です。
既にご存知かも知れませんが、今回の原発事故について熱心に情報発信されているサイトを紹介します。
http://maxlabo.exblog.jp/
そこに張られているリンク先から5月15日に放送されたNHK ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」を知りました。中には職を失しても事実の記録に懸命な人がいること。良心ある人々の行動には本当に頭が下がる思いです。今の時代、貴殿のこのサイトも含め、草の根運動が国を救う貴重な手段です。

返信する
ありがとうございました (kazu)
2011-05-18 03:50:39
kojiさま、

貴重な情報ありがとうございました。
お教えいただいたサイトを、
本日のブログでも紹介させていただきました。

省みれば、今回の事故の遠い原因は、積極的かつ能動的に原発に反対してこなかった私自身と、私たち世代にもあると思われます。

私たち世代が犯した間違いによる被害を私たち世代が受けるのは、
ある意味当然の報いかもしれませんが、
何の罪もない子どもたちが蒙ることだけは、
なんとか阻止しなければいけないと考えます。

次世代の日本を担う子どもたちを、正確な情報を元にして、
私たち世代が守らなきゃいけない。

親に従って行動するしかない無垢な子どもたちは、
正確な情報を必要とする見に見えない危険から
自分のことを守ることはできない。

自分たち自身の賢明な行動によって、
自分の子どもも含めて次世代の日本人を守る。
そのことをいつも念頭において、
とても非力ではありますが、自分のできる範囲で、
この国を守るための草の根活動に貢献したいと考えています。

これからもいろいろ教えてください。
返信する
Unknown (koji)
2011-05-21 11:17:38
こちらこそ「天災と人災」を丁寧にご紹介いただきありがとうございます。私はオーディオが趣味でこの方の本来のブログであるオーディオのサイトを以前から楽しみにしておりました。今回の原発事故の後、そのサイトで国のデータ開示はおかしいと取り上げておられた中、堪らず専用のサイトを立ち上げられたのが「天災と人災」です。
趣味関連ですと自分にも知識がありますので、サイトの主の見識、洞察力が良く判りますね。

実はこの「風の旅人」もセーリングへの憧れから以前より拝見しておりました。
学生のころ少しだけディンギーに乗っていたのですが、以来、20年以上ご無沙汰です。数年前から海に戻りたくなり、どの様な形で可能か、ぼんやり考えていた中、西村さんのこのサイトも知るようになった訳です。
これからも参考にさせていただきます。
返信する
ぜひまた海に戻ってきてください! (kazu)
2011-05-23 08:54:50
kojiさま、

「天災と人災」は、セーリング関係以外の知人や、家人の友人たちの間でもどんどん読まれていくようになっています。
その人たちは皆、政府の言うことに強い疑いを持ち始めています。
こういう小さな脈動から、国政の方向を変えるくらい大きな民意が生まれてくればいいな、と思います。

そろそろ気を取り直して、ブログのほうは、本来の海とセーリング方面に戻していくつもりです。
ぜひまたセーリングに復帰してください。
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