2013年9月28日 航空機安定増加装置SAS

2013年09月28日 | 風の旅人日乗

遠くに、江の島、湘南平


昨日の昼休み、
秋になって誰もいなくなった海の、
こんな景色を楽しみながら1人で弁当を食べていたら、


右に天城山。左の諸磯ロウソク灯台の向こうに、薄く伊豆大島


同じアメリカズカップ委員会のK井さんから
メールが入っていることに気がついた。

「オラクルが飛行機用の自動制御システムを取り入れたと聞きましたが、
何か詳しい情報入ってますか?」

自動制御システム?
SAS?
何?
全然知らない。

それにしても、今日の三浦の海は
穏やかで美しかった。




夕方、事務所に戻って、パソコンを開いてみると、
ニュージーランドのウエブ・セーリング専門誌の
Sail-World誌の記事をシェアしたK井さんのコメント欄が
大にぎわいの様相。

Sail-World誌をじっくり読み、
それでもまだ分からなかったので、
ネットで検索していたら、
こんな日本語サイトがあった。

長くなるけど、
自分用のメモとしての意味でも、
以下、貼付けてみる。

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4.安定増加装置(SAS:stability augmentation system)
機体が自身で備えている安定性が不足している場合,
あるいは安定性が負であるような場合に,
人工的に正の安定性を持たせるための装置。

これには高速飛行時に発生する機首下げの傾向,
いわゆるタック・アンダーによる縦安定の不足を
補うためのピッチ・トリム・コンペンセーター,
あるいは,高高度,高速飛行時に方向安定と横安定の
アンバランスによって発生する,
いわゆるダッチ・ロールを防止するためのヨー・ダンパー,
またはロール・ダンパーなどがある。

(1)ピッチ・トリム・コンペンセーター
(PTC:pitch trim compensator)
飛行機にタック・アンダー現象が起こると,
縦安定が負になることを意味し,
安定性上,きわめて具合が悪いことになる。

したがって,DC-8機では,マッハ0.78以上の速度に達した後は,
自動的に昇降舵の操舵力を補正し,
タック・アンダーの影響を相殺することによって,
安定性を人工的に正にするPTCを備えている。
マック・トリム・システムと呼ばれることもある。

MD-11ではLSAS(Longitudinal Stability Augmentation System)に
この機能が組み込まれている。

(2)ヨー・ダンパー(yaw damper)
ダッチ・ロールを防止する目的で用いられる安定増加装置の一種。
この装置は,ヨー方向の角加速度を検知し,
電気的信号を作り出す部分,およびその信号を増幅し,
方向舵を動かすアクチュエーターに指令を出す部分,
および方向舵を動かすアクチュエーターなどから構成されており,
この装置が自動的に方向舵を適正に操舵することにより,
ダッチ・ロールの発生を防止することができるように作られている。

5.関連用語
タック・アンダー(tuck under):
飛行機の速度が臨界マッハ数を超えると,
衝撃失速(または造波失速)によって揚力が減少し,
洗流角(downwash angle)も減り,
尾翼の下向き揚力が減少して,
機首下げのモーメントを生じる現象。

ふつうなら,飛行機の速度が増すに従い揚力が増加し,
パイロットは操縦桿を次第に前に押さなければ水平飛行が続けられないが,
この現象が起こると操縦桿を押す力をゆるめるか,
逆に引かなければならなくなる。

降下中にこの現象が生じると,
降下角が深くなり危険とされ,
ジェット機が実用になったころはこの現象が恐れられていた。

ダッチ・ロール(dutch roll):
飛行機のローリングとヨーイングが合成された蛇行運動を,
短い周期で繰り返す状態をいう。

この運動は昔のオランダ人のスケートのスタイルに似ているため
ダッチ・ロールと呼ばれ,
パイロットが補助翼と方向舵の操作を協調させて減衰させることは困難であるので,
ジェット輸送機ではヨー・ダンパーを装備している。(→ダッチロール・モード)

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以上、出典はここです。


あの、悲しい日航機事故を連想させられてしまう単語を、
ヨットレースの話で目にするとは思ってもなかった。

フォイリングを安定させる装置をオラクルが持っていることは
エミレーツチームニュージーランドも情報を事前に得ていて、
アメリカズカップ本戦が始まる前に抗議を出したが、
計測委員会は、この装置はAC72のクラスルールに違反しないとして、
チームニュージーランドの抗議を却下した、
という。


なんだかなあ。
難しいことだなあ。

いや、ルールの解釈の問題は専門家に任せるとしても、

人間と自然が触れあうスポーツとしての
セーリングを愛する立場として、
どう受け入れればいいのかという、
個人的ココロの部分で。

でも、
例えば自転車の世界で、
当初シマノのSTIとかSISを馬鹿にし、かつ拒絶した
古い自転車乗りと同じになってしまうことは、
絶対にイヤだしなあ。

情報不足のまま間違った感情を持ってしまう前に
もう少し詳しく、実際にオラクルが使ったという装置について
情報を集めてみることにする。

下の写真は、サンフランシスコから帰る日、
サンフランシスコ空港に向かうTaxiの中。
ここでもAmerica's Cup。






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1 コメント

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海のF1 (KIMSG)
2013-09-28 21:37:17
最先端のヨットレースに航空機器が関係しているのではと言うのは、アメリカズカップが興行に近い形態になった時点で起こりえることですね。クラッシク?なレースを戦うヨットマンを育てるのと、こんなヨットレースを戦える人材の育成を地道にやっていける環境が、ニッポンチャレンジの時のように作られればなぁーと、つくづく思います。
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