先日、水彩仲間の友人から地元新聞の「ニセコの夏」という掲載記事の切抜きをもらった。 そこには鹿児島からやってきた高齢者夫妻が長期滞在している優雅な姿の写真も添えてあった。 このお二人はなんとニセコのホテルに4ヶ月も滞在しているらしい。
こうして倶知安には、コンドミニアム型ホテルがあり、長期滞在者が自炊も出来るよう、 キッチン用具まで完備されていて、何不自由なく過ごせるというホットな記事だった。
この町は冬になると、良質の雪を求めて外国からのスキー客がわんさと詰め掛けてくることで 有名な町だ。北海道に住む者はわざわざ寒い時期に、と思うが、彼らにとっては実にハッピーな リゾート地なのだ。夏はかえって閑散期になるそうだ。
そこで夏をどうアピールするかに勝負をかけたのである。本土の人々に北国の良さを味わって もらおうと、ゆったりとした自然、雄大で美しい羊蹄山を眺め、そして豊富な食も含めて低廉な 価格で長期滞在はいかが、と紹介していった。このことが功を奏して昨年だけで500組の 観光客が長期滞在し、登山、ゴルフ、そして温泉を楽しんだというのだ。
このようなアイデアは、東日本大震災による福島の原発事故が産んだ皮肉な結果である。 あの時予約していた外国人が大量にキャンセルしたことで町は大打撃を被ってしまった。 何とかこの危機を乗り越えようと立ち上がった努力の結果が今の隆盛に繋がったようだ。
この町が当面取り組んだのは高齢者の滞在への試みだった。冬は外国人で賑わっても 快適な夏の訪問者が少ないことに着目し、高齢者が楽しんでもらえる町になったようだ。 以前倶知安観光協会の会長をしいた関係者は、狙いどころがIT企業の社員だったが、 結果的に高齢者の反応がよかった、と語っていた。
倶知安町やニセコ町は今、高齢者の受け入れをさらに推し進めるようだが、さらに 次のステップは、外国からの滞在希望者にも意を砕き、その家族の子どもたちや学生にも 呼びかけながら、言葉の習得や仕事などを含めた留学が可能なプロジェクトを模索している ようだ。
地域活性化への取り組みはこうして地方から発信されている。この事業を推進する町の 有力者は、ずっと以前から親しくしている人で今は町議会の議長という重責を担っている。 切抜き記事をわざわざ手渡してくれたのは、ぼくがよく知っている人とだということの配慮から だった。久しぶりに再会したような思いで記事を読んだ。
やさしいタイガー
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