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山男の話

2013-07-17 10:57:29 | 日記・エッセイ・コラム

 久しぶりに、旧知の間柄の6人と昼食をとりながらの歓談、なんと3時間も話し込みました。集まった年齢は90歳代、80歳代、70歳代そして60歳代という男性ばかり。とにかくよく話しました。集いの中心になる方は、日本山岳会の重鎮で、北海道の山岳会のリーダーでもある方です。

 Hさんは、東京の大学時代に山岳部で活動され、すっかり山に魅入られてその後ずっといろんな山に登攀された方です。今では年齢のこともあるのでしょう。山登りより、もっぱら普及や執筆を楽しんでおられます。

 ぼくは、もう山登りなどできなくなってしまいましたが、かつてはだれもが青春期の中に山登りやハイキングをい含んでいたでしょうから、話を聞きながら、わが青春時代を思い出しておりました。

 今月、富士山が世界文化遺産に登録されました。「自然遺産」ではなく、「文化遺産」というところに富士山の魅力があるのでしょうか。けれども登山する人のマナーは、あっけにとられるくらいによくない人が多いらしいのです。

 話題になっただけに、話のタネにしておきたいという調子に乗る人も多くいて、中にはハイヒール姿で登ろうとした不心得な人もいたようです。どんな山にも見えないところで危険が待っていることを想像もせずに、ただ登ればいいのだという軽い人と、真剣に取り組む人との違いはどうしようもないことなのかもしれません。

 それだけブームになったのですから、さぞ若者にも人気があるのかと思いきや、まったく思い違います。そう、高齢者が多いのです。みんな元気です。

 今、大学の山岳部は危機的状態だと知りました。東京のある大学は、山岳部はあっても部員は3人、それもカナダ人など3人とも外国人。日本の学生は一人もいないそうです。日本の若者は、こんな過酷な環境になじめなくなってきたようです。

 北大の山岳部は、入部希望者は大学生活を5年過ごす覚悟がないと活動できないとも聞きました。つまり1年は留年するそうです。 考えてみると、それだけ青春をぶつける人生とういうのは、何ものにも替えがたい素晴らしい時間と思えるのですが。

 過酷な条件とあえて危険を覚悟しながら、突き進んでいこうという若者らしい生き方は、望むべくもない時代になったのかもしれません。

 青春を燃焼させ、そして今の人生とつながっているこのHさんの話から、様々な苦労話はもちろんですが、そこに生まれた友情や共感は今も脈打っていると感じました。

 近頃の青年の多くは、「さとり世代」 ともいわれています。これといった目標もなく、恋愛や結婚にもさしたる価値も見出さず、仕事においても栄達は望まず、わずらわしい人間関係を持ちたくないという、ちょっと世の中からはぐれたがっているかのような生き方、それを「さとり世代」というそうです。

 命がかかっていることを百も承知で山に登るるという生き方と、どこか対の感じを受けますが、Hさんのように、傘寿を迎えて今も熱っぽく語る中から伝わってくる空気は、後期高齢者を大いに勇気づけたランチタイムでした。

やさしいタイガー


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