喫茶 輪

コーヒーカップの耳

連載の題名

2019-11-11 19:48:47 | 本・雑誌
池波正太郎のエッセイ集『食卓のつぶやき』(朝日文庫・2008年刊)を読んでいる。



「連想」と題してこんなことが書かれている。
《ところが、題名がなかなかに決まらぬ。
 さっと、すぐに決められる場合もあるが、いったん拗れてしまうと、どうにもならない。あっという間に半年が過ぎて、いよいよ〔作者の言葉〕なるのもを編集部へわたされる日がせまってきた。
 連載が始まる前の週に作者の言葉と共に題名も発表される。
 (困った……)
 作者の言葉は書いたが、題名は締切りの前日まで決まらない。》

その後、鮨屋へ行っての話になり、
《「海苔巻をたのみます」「ハイ」職人がスダレをひろげ、黒い焼き海苔を置き、その上へ白い飯をのせた。
 その瞬間に、私はにやりとした。題名がぱっと決まったのである。
 「海苔巻を食べたら、又、食べ直しだ」「……?」
 その題名を〔黒白(こくびゃく)〕という。》


これ、高橋輝次さんの最新刊『タイトル読本』に入れたらいいような話です。

本の題名をつけるの、簡単そうで難しいんですよね。
 
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大岡信の書状

2019-11-11 12:09:37 | 宮崎修二朗翁
宮崎翁が蔵書を処分されたとき、書斎の中の一切も処分されたと聞き、本よりも、著名文人からの書簡などの資料が惜しいと思ったのでした。
中に大岡信からの巻紙状の手紙もあったとおっしゃっていたので。
さて今日です。
調べものがあって、探っていて、もう随分前に宮崎翁から託された書簡の束(そんなものがあるのは承知していたが)を出してきた。



託された当時はわたしも知識が薄く、それがどれほどの価値のあるものか解っていなかった。
すると有ったのです。
大岡信の書状。



毛筆による立派なものでした。
大岡の宮崎翁への尊敬の念が伝わるものです。
改めて、書簡の束を調べてみました。
田辺聖子、杉本苑子、石上弦一郎、谷沢栄一、栃折久美子、織田正吉、阪本勝、足立巻一ほか、著名文人からの書簡がいっぱい。
これを基にしてのものがいくらでも書けそうです。
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