喫茶 輪

コーヒーカップの耳

連載の題名

2019-11-11 19:48:47 | 本・雑誌
池波正太郎のエッセイ集『食卓のつぶやき』(朝日文庫・2008年刊)を読んでいる。



「連想」と題してこんなことが書かれている。
《ところが、題名がなかなかに決まらぬ。
 さっと、すぐに決められる場合もあるが、いったん拗れてしまうと、どうにもならない。あっという間に半年が過ぎて、いよいよ〔作者の言葉〕なるのもを編集部へわたされる日がせまってきた。
 連載が始まる前の週に作者の言葉と共に題名も発表される。
 (困った……)
 作者の言葉は書いたが、題名は締切りの前日まで決まらない。》

その後、鮨屋へ行っての話になり、
《「海苔巻をたのみます」「ハイ」職人がスダレをひろげ、黒い焼き海苔を置き、その上へ白い飯をのせた。
 その瞬間に、私はにやりとした。題名がぱっと決まったのである。
 「海苔巻を食べたら、又、食べ直しだ」「……?」
 その題名を〔黒白(こくびゃく)〕という。》


これ、高橋輝次さんの最新刊『タイトル読本』に入れたらいいような話です。

本の題名をつけるの、簡単そうで難しいんですよね。
 
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