池波正太郎のエッセイ集『食卓のつぶやき』(朝日文庫・2008年刊)を読んでいる。
「連想」と題してこんなことが書かれている。
《ところが、題名がなかなかに決まらぬ。
さっと、すぐに決められる場合もあるが、いったん拗れてしまうと、どうにもならない。あっという間に半年が過ぎて、いよいよ〔作者の言葉〕なるのもを編集部へわたされる日がせまってきた。
連載が始まる前の週に作者の言葉と共に題名も発表される。
(困った……)
作者の言葉は書いたが、題名は締切りの前日まで決まらない。》
その後、鮨屋へ行っての話になり、
《「海苔巻をたのみます」「ハイ」職人がスダレをひろげ、黒い焼き海苔を置き、その上へ白い飯をのせた。
その瞬間に、私はにやりとした。題名がぱっと決まったのである。
「海苔巻を食べたら、又、食べ直しだ」「……?」
その題名を〔黒白(こくびゃく)〕という。》
これ、高橋輝次さんの最新刊『タイトル読本』に入れたらいいような話です。
本の題名をつけるの、簡単そうで難しいんですよね。
「連想」と題してこんなことが書かれている。
《ところが、題名がなかなかに決まらぬ。
さっと、すぐに決められる場合もあるが、いったん拗れてしまうと、どうにもならない。あっという間に半年が過ぎて、いよいよ〔作者の言葉〕なるのもを編集部へわたされる日がせまってきた。
連載が始まる前の週に作者の言葉と共に題名も発表される。
(困った……)
作者の言葉は書いたが、題名は締切りの前日まで決まらない。》
その後、鮨屋へ行っての話になり、
《「海苔巻をたのみます」「ハイ」職人がスダレをひろげ、黒い焼き海苔を置き、その上へ白い飯をのせた。
その瞬間に、私はにやりとした。題名がぱっと決まったのである。
「海苔巻を食べたら、又、食べ直しだ」「……?」
その題名を〔黒白(こくびゃく)〕という。》
これ、高橋輝次さんの最新刊『タイトル読本』に入れたらいいような話です。
本の題名をつけるの、簡単そうで難しいんですよね。