店にかけている額です。
今日は25回目の「夕暮れ忌」でした。
神戸、ラッセホール。
驚きました。今回で最終回なのだと。
いつも初めの挨拶をされる、代表者の杉山平一先生はお休みでした。
代わって、宮崎修二朗先生(著書50数冊)が挨拶。
杉山先生は96歳です。最後なら出席しましょうか、とおっしゃったらしいが、この暑い中を出て
来て頂くのは心配です。
で、先生の挨拶文。
そして、やはり今回欠席の大谷晃一さん(著書にベストセラー『大阪学』)のあいさつ。
寂しいことですが、これも時の流れ、致し方のないことでしょう。
今回の講演は季村敏夫氏(著書に『山上の蜘蛛』)。
会の終わり近くに、足立先生の御子息、足立明さん(流通科学大学副学長)が駆けつけられ
挨拶。
重要な会議の途中を抜けてこられたとかで、あたふたと戻って行かれた。
お忙しいのに律義なことである。
そして終わりに全員にマイクが回され、一言スピーチ。
こんなことは初めてである。良かった。
そして、これまで長年お世話して来られた、ジュンク堂の岡充孝さん(ジュンク堂社長)の司会
で、編集工房ノアの涸沢純平さんが締めくくりの挨拶。お二人とも若かったのによくやってこら
れた。今は偉くなられて。足立先生、どんなに喜んでおられるか。
その最後に岡さんに向かってボソリと、「岡さんありがと」と言ったのが印象的だった。この心
のこもった「ありがと」は、これまで出席した者すべての気持ちです。
帰りに、編集工房ノアさんから『海鳴り』22号を頂く。
その巻頭を飾る詩。
大好きな天野忠さんの「小舟」です。いいですねえ!
この『海鳴り』、店に来られる人に差し上げて下さいと10冊ほど頂きました。
御希望の方はお申し出ください。
帰りの電車で、庄野至さんの「潤三に別れを告げに飛んできた小鳥たち」を読んだ。あと少し
で駅に着いてしまって、残りをこれから読みます。庄野至さんも足立先生と縁の深い人で、
『足立さんの古い皮鞄』という著書がある人である。この本は織田作之助賞を受けられてい
る。
ここでいう潤三氏は、至さんのお兄さんで、『プールサイド小景』で芥川賞を受けられている作
家だった。
因みにもうお一人のお兄様、庄野英二氏は『星の牧場』で有名な児童文学者でした。
「夕暮れ忌」は休止になったが、それぞれの心の中では続いて行くことでしょう。
わたしは足立先生のこと、一生忘れません。
夜、お地蔵さんにお参りすると、藤棚の上から「チンチンチン」ときれいな声が。
今年初めてのカネタタキの鳴き声である。
この虫、この地に昔はいなかった。ハッキリと、地震があった次の年からである。
復興工事で、山の土が入って来たのだろう。以来住みついて繁殖している。
当時、「鎮魂」という言葉がよく使われた。亡くなった人の魂を鎮める意味である。
神戸のルミナリエにも使われた。それで私も、この虫の音を鎮魂に感じた。「チンチンチン」と
涼やかで少し哀しくて、清らかな声である。
それで思い出すことが有る。
もうずいぶん前、このカネタタキを素材に詩を作ったことがある。
鳴き声を「鎮 鎮 鎮」と書きたかったが、そんなにむきつけな表現はできなくて「チンチンチ
ン」とかたかなで書いた。ところがそこに鎮魂が込められていることに気づいてくれない人が
あり残念だった。