初心者のクラシック

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ロベルト・シューマン(最終話)

2007年01月21日 | 作曲家の生涯
たまには、作曲家の生涯にふれてみてはいかがですか?

今日はロベルト・アレクサンダー・シューマン(最終話)です。

≪作曲家の肖像≫
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【Robert Alexander Schumann】

(第11話)【運命のとき】
 1853年9月シューマンの元に若い作曲家が訪ねてきました。そう、まだ20歳のブラームスです。青年ブラームスは自作のピアノソナタを演奏し始めると、シューマンは「クララ来てごらん、天才が現れたよ!」と妻クララを呼び出す程、ブラームスの演奏に感銘を受けていたようです。

 そして、ブラームスの演奏を広めるため久々にペンを執ったシューマンは自らの出版する「音楽時報」にブラームスを「新しい道」として紹介するのでした。シューマンから好評かを得たブラームスはその後シューマン夫妻の元にしばらく居候をして結局11月頃まで、生活を共にする事になるのでした。
 今見るとかなり豪華な顔ぶれが同居するこの共同生活の中で、一体どんな音楽論を戦わせていたんでしょうか?残念ながら詳しい記録は残されていないらしく現在では知る術もありませんが、きっと充実した日々を送っていた事でしょう。

 こうして自らの不安定な精神状態と戦いながらも、熱心に音楽活動を続けていましたが・・・、1854年2月シューマン44歳の冬、ついに運命の時を迎えてしまうのでした。

 幻聴と耳鳴りにうなされた眠れない夜、シューマンは家族が一瞬目を離したそのスキに「恐ろしくてたまらない!虎とハエの形をした魔物が襲い掛かってくる!!」と叫んだかと思うと、次の瞬間には雨の中を寝巻きのまま、家を飛び出していくのでした。

 家を飛び出したシューマンはライン川まで駆けていくと、一心不乱にクララとの結婚指輪をはずし、ライン川へ投げ、そして次には自らも冬の凍てつくラインの流れに身を投げてしまうのでした。

 その後、運良くラインを行く船に助けられて自宅で療養をする事になるシューマンでしたが、自らの素行に恥じたのか、それとも持病に面と向き合う気になったのか、自分の意思でボン・エンデニッヒの精神病院に入院する事になるのでした。

 そして、病院からは面会謝絶を言い渡されて孤独な闘病生活を送ることになるのでした。面会謝絶ではあるものの、時々ブラームスやヨアヒムなどと面会しシューマンを見舞っていたようです。また手紙のやり取りをして気を紛らわしてもいたようです。

 シューマンの闘病生活は過酷なものだったらしく、錯乱してうわごとを言ったり、幻聴に悩まされて眠れぬ日々を送ったり、急に静かになったかと思うと、急にピアノに向かって弾きまくったりと、かなり壮絶な生活を送っていたようです。

 そんな生活が2年あまりつづいた後の1856年、遂に危篤状態に陥ってしまったという電報がクララの元に届くのでした。知らせを受けたクララはすぐに病院に駆けつけようやくシューマンに逢う事ができたのでした。

 憔悴しきったシューマンのベッドの傍らでクララはワインに指を浸してシューマンの口元に持っていくと、シューマンは力なくクララの指をすするのでした。結局クララがシューマンの元に来てから2日後、シューマンは帰らぬ人になってしまうのでした。
1856年、享年46歳のシューマンでした。



 精神病と戦いながらの生涯でしたが、その苦しみは創造を絶するものだった事でしょう。「気の持ちよう」なんて簡単な言葉ではかたずけられない程複雑な症状なんだと思います。考えると少し怖いですよね、自分の考えを自分でコントロール出来なくなる事ほど、もどかしく、歯がゆい事はないと思います。
 そんな症状と闘いながら作曲していたのか・・・、と考えるとシューマンの流麗で美しいメロディの中に深いものを感じる気がします。


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2 コメント

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11日間楽しませてもらいました (eye_1975)
2007-01-21 11:28:41
シューマンの波乱万丈人生は記事を見るだけでもゾクゾクしてきます。曲紹介のメロディー表現と同じです。リアルですね。
もし、私のブログ記事に不備な点がありましたら、お叱りのコメントを下さい。(目が覚めますので)改善します。また、皆様方に好感を持てるような内容にしていです。
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よかったです! (けい)
2007-01-21 14:48:21
楽しんで頂ければ、とても嬉しいですね。
ゾクゾクするのはシューマンの人生がとても波乱万丈だからでしょうね。調べてても途中で心配になってきたりして、自分でも面白かったです。
eyes_1975さんのブログにもコメントを書きに行こうと思ってるんですけど、最近は自分のでいっぱいいっぱいな状況だったんで、お邪魔できませんでしたが、またこれから遊びに行きますね!
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