御託専科

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「農で起業する!-脱サラ農業のススメー」 杉山経昌

2005-05-22 11:12:01 | 書評
昨日の昼過ぎにアマゾンの宅配が来て、ちらと眺めるとそのまま面白くて最後まで読んでしまった! 外資系サラリーマン、という話だったので、ストックオプションやらなんやらで濡れ手に粟で稼いだ人が道楽として自分の思いを語るってな本だったらすぐゴミ箱に持ってゆこうと思ってたが、なんのなんの、現実的で勇気のある人の真っ当で創造的な生き方の見本を見せ付けられた。
細部をあげればきりがないのでよしておくが、全体として言いうるのは、農業にはまだまだ合理的な考え方を持ち込む余地があるということのようだ。それをひとつひとつ試し実践してゆく著者の勇気と想像力と勤勉さには感心するほかはない。
実をいうと農業に限らない広い範囲で合理性と合目的性を問いなおすべき話は多いのではないか、と改めて思った次第。
エコロジー・有機農法などに対する考え方などもとてもよく理解できた。書家の石川九楊が言ってた、「農業とは自然そのものではなく、自然を意図的に傷つけ、その回復力から収穫を得る産業である」ということばが具体性を持って見えてきた気がした。

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