朝の電車は、通勤・通学の客で混雑する。
そんな中、大声でのお喋りは、迷惑以外の何でもナイ。
私の乗った車両では、ドアのすぐ横のスペースに左右に分かれて乗った高校生の男の子達が、すっかりお喋りに盛り上がっていた。
混雑した車内には、駅に着くたび人が更に乗り込んでくる。
場所を動かない彼らの間にも、当然人は立つわけだ。
それでも、彼らはお喋りを止めないどころか、更に盛り上がってしまったようだった。
何を話しているのかさっぱりわからないけど。
そう。
何を話しているのか、私にはさっぱりわからない。
彼らの言葉は、手話だったから。
空気を吐くような音のナイ声を、口パクのように話していたから。
外見は、ちょっと地味目な普通の高校生だった。
もしかしたら、健常だけど授業や何かの活動で身に付けたものかもしれない。
けれどあのスピードで繰り出される手話は、日常的に長く使っていないと習得できないようにも思えた。
まあ、彼らが健常かどうかはこの際関係ナイ。
問題は、混雑した車内でドアの左右に分かれ、間に立つ人をモノともせずに、大振りな仕草で手話を続けていることだよ。
頭の上を大声が飛び交うのも迷惑なものだが、腕を使う空間は混雑した車内では人が乗り込むべきところだし、何より人にぶつかってんだろうがよ!
高校生辺りの年頃がやりがちな、マナー違反。
会話の手法こそ違えど、そのくらいの判断能力はあるはずだろう。
もうちょっと考えて欲しいもんだった。
注意しようかとも思ったけど、私はこの電車には2駅しか乗らないもんだからさ。
ついスルーしてしまったわ。
…私もまだまだだな。