深夜、サキタが泣く。
腹が減ったアピールと、おむつ換え要求だ。
我が家の寝室は、私達のベッドにくっつけるようにして、サキタのベビーベッドが設置されている。
並びとしては、ハルトくん、私、サキタの順だ。
まあ、基本的にはママがベイビィの面倒を見るのが好ましいであろう。
しかし、平日付きっ切りで面倒を見ているのは私だ。
休日や夜は、ハルトくんにもぜひ育児に参加していただきたい。
もちろんハルトくんは、私がわざわざ言わずともやってくれるけど。
そして今日も、サキタが泣く。
母乳をやれるのは私だけだが、最初のおむつ換えや母乳の後に足すミルクの準備は、ハルトくんでも当然できる。
そこで、ハルトくんを突付いて起こし、おむつ換えをしてもらうことに。
それについては、文句も言わずに起き上がるハルトくん。
サキタの元へ行こうとして、私のすぐ横に座る。
一度ベッドを降りてサキタのベビーベッドへ回り込むこともできるはずだが、あくまでも最短距離を直進しようというつもりらしい。
障害物たる私に、退けと言うのかと思えば、放ったセリフがこれだ。
「ちや…屍を越えて行ってイイ?」
誰が屍か。
素直に「跨いでイイ?」とでも聞けばイイものを。(いや、跨ぐな)
結局、退かされた私だった。