紋やのつぶやき

職人?たる上絵師のグチリ・知られざる失敗談・紋のウンチクを気の赴くまま語ろうと思いますが、どうなりますやら?

上絵紋と刷込み紋

2006年11月24日 18時47分32秒 | 
       
上の二つの紋(刷り込み紋の版下)はどちらも「丸に蔦」紋の刷り込み紋です。
葉脈の線が、左の紋が一本少なく三本づつになっています。
右の紋は『上絵紋』を忠実に、そのまま刷込み紋にしています。
元の「丸に蔦」の上絵紋は下の通りです。

        

一昔前までは、「丸に蔦の刷込み紋」と指定されますと、左の紋を祝着や色無地に刷込みました。これは、元々刷込み紋の形は「地抜き紋」今日の場合は「地抜きの蔦」紋 ↓ 基本としていたからです。又型を彫るのに葉脈線が四本となると更に細かい作業となり、一本の葉脈線を略して描いていました。(蔦の紋型はこちら)
(しかし、昨日見てきた浮世絵の版と比べれば易しい事か?)
        

しかし、ここ10年くらい前以降は右の紋の様に、上絵紋と同じ様に型を作って刷込んでいます。と云うのは、ある新興のお客さんが、あまり紋の事が解らず、紋帖の『上絵紋』と同じように描くように要望があった事と、製版技術の進展から、上絵と同じ様に描くようになりました。
でも、紋の白と黒のバランスからいえば、どちらがいいでしょうか????
個人的には上絵紋は「上絵紋」、刷込み紋は「刷込み紋」として別々にあった方がいいと思っていますが。

次回にアップしようとする「鶴」紋の中の「向い鶴」も下のようになります。
       

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