紋やのつぶやき

職人?たる上絵師のグチリ・知られざる失敗談・紋のウンチクを気の赴くまま語ろうと思いますが、どうなりますやら?

「珍紋」(7)蔦

2006年08月26日 18時22分14秒 | 珍しい紋
     
祝着の紋入れで ↑ の様な旗についた「蔦」紋の見本がきました。
どう見ても「蔦」の刷込み紋が付いているとしか思えなく、強いて言えば、葉脈の線が途中で切れていなく、外まで繋がっている事でした。(蔦の刷込み紋は功名が辻の所に載っていますー線は4本と多いですが)

『葉脈の線が外まで繋がっている』と言う事は、染める時の糊置きの型が、型の強度上、繋ぎが必要で、その繋ぎ部分が染残こった、と言う事です。普通はこの『繋ぎ部分』は染めた染料で埋めて完成させるのですが、旗などの型染めは、糊置き部分が白く残りますので、そのままの状態で完成させています。(これはむかしの方法で、今は捺染で繋ぎの無い方法でやっていると思います)

刷込み紋の『繋ぎ』は、蔦紋の場合は下図の様に、繋ぎを作ります。(古い型で丸付ですが)
     

「丸に尻合せ三つ蔦」の場合は、少々小さいですが旗の紋と同じ様な繋ぎを作ります。
     

この様な『繋ぎ』の部分は紋を刷込んだ後、色を挿して仕上げます。或いは、この様な白抜きな場合は、抜き剤でその繋ぎ部分を白く抜きます。

これで少しはご理解できたでしょうか?なにか説明不足、手前勝手な感じがしますが・・・・・・・・

でも先方のお客さんは、見本の通りに紋を入れる事をご要望され、その通りに紋入れをしました。  ↓  少々納得出来ませんが・・・・・・・・
     

下のは「中陰蔦」の刷込み紋の型です。(年代物ですー今は使っていません)
      

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