ぶつぶつ地蔵

地蔵 呟く ひーの言葉を。ぶつぶつと…。

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MAマイ楽

2007-03-05 20:56:26 | 舞台関係
本日千秋楽を迎えるMA。(東京凱旋公演がすぐにあるけど
結局、なんだかんだ言いつつ、3回観たMAである。
1回目は、予備知識なく「まんま」を観た。
2回目は、原作を読み終え「違い」を観た。
3回目は、観ることを楽しもうと思って観た。

3回が3回とも同じ舞台なのに、ちょっとづつ違う。面白いねぇ、人の感覚というものは。

そんなわけで、MAの感想を原作を交えてピックアップ形式でお送りします(笑)


■マリー・アントワネットとフェルセン■
舞台のマリーちゃんは、一人の人間として描かれている。個人的には、原作の王妃として最後まで生きたマリーちゃんの方が好き。原作では「わたくしの武器は王妃としての優雅さと気品」と、常に王妃としてどうあるべきかを第一に動いている。それは王太子妃の時から一貫している。貴族に対しても、民衆に対しても変わらぬ態度なのだ。
なのでフェルセンとの関係も、最後までプラトニックである。舞台ではそこまで詳しく心の変化を描けないし、劇的な方がいいからかもしれなけれど、早くからラブラブカップルになっている二人の関係。原作ではお互いにお互いの気持ちは分かり合っているけれど、口にも文字にも表さない。王が亡くなられ王妃だけでも助けたい、とフェルセンが最後にタンプル塔に潜り込んだ時に初めてお互いの気持ちを明かしあう。愛していると。
原作でも舞台でものこの別れのシーンは激泣きシーンである。
ただ、ここで舞台版に突っ込み(笑)
「違う世ならば、一緒になれるだろうか」みたいな歌詞があるんですがね。これってさ、違う世でもマリーちゃんがルイと先に出会う限り、フェルセンとの仲は不倫でしかないんですけど・・・って思っちゃうんですよ。いいシーンなのに、自分でぶち壊してます。スンマセン
片方では万歳と叫び、その翌日には殺せと叫ぶ民衆。フランスで民衆に裏切られたマリーちゃんを見ていたから民衆を信用できなくなってしまったのだろうか。。。自国で圧政をしいたマリーちゃんと同い年のフェルセンは、マリーちゃんが亡くなった約15年後に自国の民衆によって虐殺されちゃうわけです。マリーちゃんと同じような痛みを最後に感じたのかも知れないッスね。(マリーちゃんよりひどい死に方でしたが^^;)

■カリオストロ伯爵と首飾り事件■
原作のカリオストロは、普通の詐欺師であり錬金術師の自称、伯爵である。首飾り事件までは関与しているけれどもそれ以降は出てきません。
マリーちゃんとの接点は、王太子妃の時に人気占い師として宮殿に招かれたところにあります。カリオストロは専属占い師になりたくて「暗い陰りが王室に降りかかる」と予言し皇太子妃に自分に助けを求めるように仕向けたのだが、逆にパリから追放され、それを根に持って世を覆そうと考えるのである。(ちなみに、このときのカリオストロの予言がマリーちゃんの心にずっと影を落とすのである。)
それで企てたのが首飾り事件。ラ・モット夫人とは詐欺仲間で知り合いって設定。二人が画策し、ロアン司教を落としいれマリーちゃんをも陥れる首飾り事件に発展するんですね。
ラ・モットは現実的な利益の首飾りを、カリオストロはお金ではなく仏蘭西革命へと繋がる民衆のマリーちゃんへの不満の布石を。
蛇足ながらラ・モット夫人は逃亡途中で捕まり、Vの焼き鏝の刑に処せられた後、イギリスへ。マリーちゃんの悪口本を書きまくり、これが民衆をあおったとも言われているとかなんとか。。。
首飾り自体は、ルイ15世がデュ・バリー夫人へ贈るために作ったもので、ルイ15世が贈る前に他界したため中に浮いてしまった代物。そう考えると、デュ・バリー夫人の為に作られた首飾りをいくら宝石好きとはいえ、マリーちゃんが欲しがったとは思えないオイラなのでした。

■MAとMA■
舞台では最終的にマリーちゃんに傾倒しちゃったの?的なもう一人のMA、マルグリット・アルノー。
しかし、原作では少しの接点があるものの、ずっと平行してストーリーが進む。
原作はマリーちゃんの一生を描きながら、平行してマルグリットの一生も描いている。それはマリーちゃんが得られなかった自由とマルグリットが得られなかった豊かさの対比でもある。
舞台として、現在の感覚として、マルグリットに共感できたほうがいいのだろうと思うけれど、泥にまみれ、恨みにまみれ、ぼろきれの様な存在のままラストまで突っ走る遠藤版マルグリットが好きだ。

■オルレアン候とサド候爵■
原作にオルレアン候は出てこない。一番近い存在としてはサド伯爵が登場する。考え方は似てるような、似てないような・・・。しかも途中で消えるし(笑)
原作にはイワユル、マリーちゃんの敵役がいないので、舞台いするときに盛り上がりに欠ける。そういった意味で、多分サド伯爵をベースにオルレアン候をこのポジションに置いたものと思われる。

■マルグリットとシスター・アニエス■
マルグリットとアニエスの関係や人となりは、原作と舞台とではちょっと違う。
原作のアニエスに舞台のマルグリットは近い。舞台のマルグリットに原作のアニエスは近い。
原作のアニエスは、多分、遠藤さんを投影しており、「王妃マリーアントワネット」という物語の中で、「神とはなにか」を訴え続けている。この遠藤さんの宗教観は、実際のキリスト教では受け入れられない部分を多分に含んでいるため、舞台のアニエスは聖女のような描かれ方なんだろうなぁ・・・とぼんやりと思う。
原作のアニエスは、教会から革命へと身を転じ、矛盾を感じ、事件を起こして処刑される。その処刑される時に投獄された牢がマリーちゃんと同じ牢で、顔は合わさないけれどもマリーちゃんの救いの光となっているのである。

■マルグリットとウサギのおばさん■
舞台では、おばさんって呼ぶのは悪いよね。おねーさんって呼ぼうか?って感じだよね。あーゆー姉さんは大好き。鞭打ちのあと死ぬのも、舞台においては効果的だしね。
原作では死なないし、最後まで元気だし、もっと小太りの人の良いおばさんってイメージ。マダム・ラパンはどっちも好き。
マルグリットに与える影響も同じくらいかなー。

■ルイ16世とレヴァンヌ事件■
ルイは凄く好き。春の陽のような雰囲気を禅さんが作り出してくれてるよね。
ベルサイユから逃げない決断をした時のルイは素敵だと思う。王は民の父であるってね。
原作ではフェルセンのお貴族様チックな行動と、王のフェルセンへの嫉妬が引き金でレヴァンヌ事件が起きるわけ。舞台ではこのシーンを割愛。代わりにお尻フリフリカリオストロが登場・・・あれって、あのダンスでいいんでしょうか・・・プッチィな馬車とカリオストロのダンス。どうしてもレヴァンヌ事件は笑ってしまいますの・・・。
ちなみに、市民ルイ・カペーと国王はなっちゃうわけですが、この「カペー」という名は、フランス初代国王の名前でもあるので(初代は「ほにゃらら・カペー」だった)ある意味、由緒ある名前な上に、フランス国王と認めているようなもんな気がするのはオイラだけ???
日本人の多くが、神武天皇が初代天皇ってことを知っているように、ほにゃらら・カペーがフランス初代国王だとフランス人は知っているのではないのだろうか。

■カリオストロとマント■
ストーリーテラー的存在の、不思議ちゃんなカリオストロ。
豊かなマントをはおり、闇の中からマリーちゃんの一生を左右する存在。
そのマントがね、ふわ~っと風をはらむ様に両手を大きく広げて旋回しながら去ってゆくカリオストロに、どうしてもアラレちゃんが重なってしまうオイラ・・・
カリオストロって、お茶目さんで、山祐さんがやりたい放題やっているように感じるのはオイラだけだろうか・・・。
ちなみに、遠藤版カリオストロは遠藤さんお得意の小柄なぶ男って設定。(実物も小柄っぽい)山祐さんとは正反対ですよね~

■ジロンド党とジャコバン党■
ジロンド党は、裕福な階層・・・いわゆるルブルジョワジーを中心に結成された党。ある意味、王族に対し温和な党である。(でも、王政廃止で共和制を支持。フイヤン党のように立憲君主を支持していない)
ジャコバン・クラブは、過激な王政打倒派。舞台を観ればよく解るよね。赤い帽子がトレードマークのジャコバン党。結局、ジロンド党を押しのけ政権を握ったジャコバン党はロベスピエールを筆頭に恐怖政治を敷く。結果、ロベスピエールも断頭台の露と消えるのであった。(チャンチャン☆)
原作ではジャコバン党の中枢核であった、ジャン=ポール・マラーをシャルロット・コルデー(実在人物で、ジロンド党支持者)と名乗ったアニエスが殺害する。これが原因でアニエスは処刑されちゃうんですね。史実と架空とをうまく融合して物語が作られている部分。

■ロベスピエールとトリコロール■
マリーちゃんの処刑シーンで幕を下ろすMA。
ギロチンの刃にべったりついた赤。マリーちゃんを包む白い囚人服。そしてマリーちゃんの横たわる台の青。
この三色でトリコロールになる。
青は自由、白は平等、赤は博愛(友愛)を表わす。赤と青はフランス革命軍が帽子に付けた帽章の色に由来し、白はブルボン朝の象徴である白百合に由来する。「青」は正式には「藍色」である。そうな。
マリーちゃんを見下ろすカリオストロ伯爵。
泣き崩れるマルグリット。
黙祷をする王党派。そしてフェルセン。
自由を勝ち取ったと、狂喜する市民。
それぞれが、それぞれの思いを胸に秘めるシーン。
その中でも、ロベスピエールの雄叫びは凄まじい。某ブログであの雄叫びに対しての評論を読んで以来、オイラにとって彼は・・・・・
このシーンでは、肩が小刻みに震えるしかなかろう。
そして原作のラストは、アニエスの処刑に矛盾を感じながらも、幼い頃からの恨みの対象であったマリーちゃんの処刑を、ウサギのおばさんと見届けるマルグリット。そして、フランスを離れたフェルセンがマリーちゃんを偲ぶシーンで終わりである。


◆個人的にお気に入りの方達◆

■砂川直人さん 女達のベルサイユ行進の時の二つ分けウルトラマンの母括りの髪型か可愛いでした。

■河合篤子さん ランバル夫人の荒川静香版イナバウアー並の体の反りは必見!そして、史実のランバル公妃は、多くの貴族がマリーちゃんを見捨てる中、イギリスからわざわざ戻り、王妹のエリザベート内親王と共にマリーちゃんに付き添った唯一の人なのです。最終的にランバル公妃も監獄に入れられ、民衆の暴動によって虐殺されます。ミュージカル同様に、遺体は切り刻まれたのでした。

■中村友里子さん ゆりゆりは可愛い♪初めは民衆としてボロを着て出ているんだけれど、それさえも可愛い。次に首飾り事件発覚シーンでの意地悪な噂好きの宮廷夫人。。。それもごっつ意地悪そうで可愛い~~~

他にも気になるアンサンブルさんが沢山おりました。
カンパニーの皆様お疲れ様でした。

思ったよりハマッってしまった感が強いMA。
東京凱旋は観に行けませんが、より高みへと進化していくことを願っております。

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3 コメント

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お疲れさまでしたv (たけこ)
2007-03-05 22:47:33
2回もご一緒できて嬉しかったです♪
原作の解説もたくさんお話聞けてとっても勉強になりました!ありがとね。
原作のアニエスにめちゃめちゃ興味あるわ~。
ウサギのおばさんも気になる~v
あの雄叫びに対する「評論」って(爆)
凱旋は来月2公演ほど観てきますね♪

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お~3回もご観劇♪ (きばりん)
2007-03-06 02:08:29
ん~~~ん?ねぇ~~~(*^_^*)
あれが気に入ってました♪

先日前後編でマリーアントワネットのわりと原作に近い感じのを見ました。
ひー様の原作を交えての舞台の感想も興味深く…。
うんうん…もうちょっと観に行けばよかったかなぁ~(^。^;;
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お返事 (ひー)
2007-03-06 09:08:08
>たけこ姉
オイラもご一緒に肩を震わせあえて嬉しかったです
個人的には原作のアニエスの方が好きだな。遠藤さんの宗教観ってか考え方がよく解るんだよね。マリーちゃんに与えるかすかな影響も好き。
凱旋公演の感想を楽しみにしてますね~

>きばりんさん
ルイ可愛いでしたよね。唇とほっぺのピンク加減が肖像画に激似してると思いました
前項編のマリーアントワネットって言うのは、きばりんさんのブログで告知してくれてた分ですよね?オイラは観ていないのでなんともいえませんが、どれくらい史実に忠実だったドキュメンタリーだったのでしょう?再放送(前項編をつなげたもの)が3/21にあるんですよね。見てみようかな~。
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