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輸血による鉄過剰の毒性

2009-03-23 | 支持療法
輸血によって鉄過剰が引き起こされることに対しての警告がMedscapeで公開。

生涯にたった10回の輸血(20 transfused units)であっても、患者は鉄過剰のリスクに曝されます。

 過剰になった鉄を排除する生理的機能はありません。
 病状にかかわらず、一旦生体の鉄を蓄える自然な能力を超えると、輸血による鉄が体内に蓄積します。
 鉄の過剰は重篤な健康被害をもたらします。

輸血による鉄過剰は有害な鉄を形成し、重要臓器にダメージを与えます。
・トランスフェリン非結合鉄(NTBI)は酸化ストレスをもたらし、細胞、組織にダメージを与える
・鉄過剰は、心臓、肝臓、内分泌腺などの臓器に無制限に鉄が貯蔵される

過剰鉄の蓄積によって引き起こされる重篤な病態は、心臓合併症、肝臓合併症、skeletomuscular障害、免疫機能低下、皮膚色素沈着である。重要臓器の鉄過剰によって起こる2つの障害は繊維化および機能不全。

輸血による貧血は以下の輸血に頼る貧血症では特にリスクが高い。
・ベータサラセミア
・鎌状赤血球病(SCD)
・骨髄異形成症候群(MDS)
・再生不良性貧血
・Diamond-Blackfan anemia(DBA)
・異常造血性貧血
・ファンコニ貧血

鉄過剰の放置は生存に影響します
・ベータサラセミアの患者では血清フェリチン高値(>2500mcg/L)が続く場合、82%は心疾患を発症、血清フェリチンをコントロールした患者では91%が15年のフォローアップで心疾患はなかった。
・SCD患者では鉄過剰が死亡の主原因である。

輸血の患者に鉄過剰の臨床所見が見られたら迅速な治療が必要。
 輸血が頻繁で、体重1キロあたり赤血球120mLを超えるとき。(または輸血10回でも)
 血清フェリチンが常時1000mcg/Lより多い

鉄過剰の治療は患者の生存に貢献する。低~中1リスクMDS患者では、治療は全生存を4倍以上改善する。他

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過去チップ 鉄過剰
初の鉄キレート経口剤FDA承認


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