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ビタミンC注射によりマウス腫瘍の増殖が遅延

2008-08-28 | 癌全般
進行癌を有するマウスに高用量のビタミンCを注射すると、正常組織に大きな影響を及ぼすことなく腫瘍増殖速度を遅延したと研究者らは報告している。ビタミンC(アスコルビン酸)の抗癌効果の可能性については数十年にわたり研究されているが、今回の知見はビタミンCがヒトの癌を治療する薬物として認められるための「強固な根拠」となる、と8月5日付け米国科学アカデミー会報誌に掲載された。

ビタミンC注射の効果を調べるため、米国国立糖尿病・消化器・腎疾患研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases)のDr. Mark Levine氏らは、進行性の脳腫瘍、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍を移植したマウスに高用量のアスコルビン酸を静脈内または腹腔内投与した。ビタミンC注射を行ったマウスでは、移植後に処置を行っていないマウスに比べ腫瘍の増殖が約半分に減少した。

投与方法の違いが効果に決定的な差を生むとみられる。ビタミンCを経口投与した場合、人体は血中アスコルビン酸濃度が少しでも過剰になることを予防する。NCIが支援した過去2件の臨床試験においてビタミンCを経口投与しても生存期間の改善がなかったのは、この理由によるものと思われる。1985年に発表された2件目の研究以後、癌にビタミンCを用いることの科学的な関心は薄れ、補完医療や代替医療を実施する一部の医師が癌患者に高用量のアスコルビン酸投与を継続していた。

今回の新知見では、アスコルビン酸投与による過酸化水素の形成が抗癌活性につながっていることが示唆された。本研究により、患者へのビタミンC投与に関する臨床試験を実施するための生物学上の論拠がようやく得られた、と付随の論説で述べられている。

ビタミンC投与ではマウスを完全に治癒させることはできなかったため、高用量アスコルビン酸の静脈注射については人(ヒト)での他の癌治療法との併用を研究するべきだ、と本研究の著者らは提案している。
NCIキャンサーブレティン080819/癌研究ハイライト

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