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転移性乳癌、治癒の可能性:アブラキサン+アバスチン(SABCS)

2007-12-20 | 乳癌
2007年12月サンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)より

 乳癌の治癒の希望を与えるマウスの研究結果(abstract 74:サザンイリノイ大学医学部)転移性乳癌を移植しリンパ節と肺転移をさせたマウスにベバシズマブ単独、アブラキサン〔nabパクリタキセル〕単独、両剤併用治療を移植後18~25日のあいだ行った。
(1)アバスチン単独および生理食塩水治療のマウスでは原発腫瘍は即座に増大した。(40日後2000mm3)
(2)低用量アブラキサン- はじめ腫瘍は縮小したが、その後増大
  低用量アブラキサン+アバスチン併用では、退縮が継続し、7匹中4匹(57%)が完全寛解。80日後に有意となった(2000mm3vs100mm3)。
(3)高用量アブラキサン- 初めは縮小し、低用量よりは長く継続したが、その後増大。
  高用量アブラキサン+アバスチン- 7匹中7匹(100%)が継続的な完全寛解、100日後には有意となった(2000mm3 vs 0mm3)。可視的な原発腫瘍は確認できず、ルシフェラーゼ活性検定では乳房の脂肪体、リンパ節、肺に残存癌細胞は見られなかった。毒性も少なく、主な副作用は治療後の体重増加であった。

化学療法は癌細胞に抑制反応を誘発し、それにより生き残った細胞はVEGF-A(血管内皮増殖因子A)を放出する。その結果、血管新生と化学療法への抵抗性が誘発されることになる。このことから細胞傷害性化学療法と血管新生阻害剤の組み合わせは分子基盤となると見られる。
高用量アブラキサン+アバスチン併用は、悪性度の高いタイプの転移性乳癌を原発および転移巣まで根治させるものであった。
現在、臨床試験が行われており、初期データはかなり良好であると、Dr.Ranは述べている。

 乳癌温存術後の幹細胞による再生 現在の脂肪による乳房再建は血管も繋がりにくく吸収されなかったり十分な方法とはいえないが、福岡市の九州中央病院院長Keizo Sugimachi医師らが報告した幹細胞の注入により乳房は良好に再生され、19人のうち79%の患者は満足しているという。原文記事

Denosmab(デノスマブ:ヒトモノクロナール抗体)がアロマターゼ阻害剤による骨量低下に有効- デノスマブは年2回60mg投与を1000mgカルシウムとビタミンD400IU摂取とともに行う。皮下注射で投与されるため腎臓への負担もなく、プラセボと同等の副作用報告。デノスマブ記事日経がんナビ記事過去チップ

・ドキソルビシン(アドリアマイシン)よりドセタキセルのほうが生存および毒性において有意に良好 ロイターなど


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