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放射能毒性から保護する薬剤(アミフォスチンの5000倍)

2008-02-04 | 癌全般
スタートレックIIに予言されたような放射能暴露に対処する薬が、ライス大学ジム・ツアー氏らとヒューストンにある2つの施設、M.D.アンダーソンがんセンターとヘルス・サイエンスセンターによって共同で開発されている。
ツアー氏らは、この薬剤を放射能暴露の30分前にマウスに投与した結果、現在最高の放射線保護剤の5000倍もの効力を持つことがわかった。国防省は原爆に被爆した人体に有効な方法を探していた。
放射能は、細胞内の化学結合から分子を分離させて核内を狂わせる。そこで発生するいわゆるフリーラジカルは細胞のDNAを破壊して細胞を殺したり分裂を妨げる。その結果、犠牲者はゆっくりと死亡する。

彼らは初め、何週間も「ワンダーブレッド」を新鮮に保たせる一般的な2つの食品保存料BHAとBHTを、フリーラジカルが害を及ぼす前に運び去る手段として用いた。しかし、彼らは保存料を作用させるためには細胞内に到達させる必要があった。そこで、炭素元素の1層を微小シリンダーに閉じこめたカーボン・ナノチューブが有用となった。このナノチューブに付着させて食品保存料を動脈から細胞へ運ぶことに成功した。

当初、宇宙飛行士が地球の大気圏外で受ける放射能から守る目的で研究が始められたが、被曝の30分前にこの薬を投与されたマウスでの結果は目を見張るものであったため、さらに幅広い可能性をもつのではないかとツアー氏は考えた。国防省サイエンスボード、ペンタゴン技術顧問団であるツアー氏は、国防総省国防高等研究事業局(DARPA)のトップに掛け合った。DARPAは放射能被爆12時間後でも有効な薬を望んだ。原子爆弾による死者は大半が初回被爆によって死亡するが、周辺地域の生存者たちは放射能防護剤によって救うことができるかもしれない。
また、癌治療による患者のダメージから回復させることが可能かもしれない。

これまで抗放射能薬として多くの試みがなされてきたが実を結んだものはなかった。唯一有効性が示されたのは「アミフォスチン」のみである。
ヒューストン・クロニクル紙原文記事


2 コメント

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カーボンナノチューブ・・・ (くぅたろう)
2008-02-06 16:54:05
核内にアプローチするのにそういうアプローチがあるんですね。

この方法を発展させると究極のアンチエイジングとか、癌予防になるのかもしれないですね。

最近、脳のネットワークを実際に再現するプロジェクトが開始されたり、ほとんどSFです。
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お久になってしまいました ()
2008-02-06 23:57:54
>核内にアプローチするのに

そのあたりが私にはよくわかりませんところでした
本当にSFです、SF。

ただ、この放射線防護剤を癌に使用するのは、癌が死なないのではないかと考えてしまいますし、まだまだ未知数ですね。
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