現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

グードルン・パウゼヴァング「価値ある人とそうでない人」そこに僕らは居合わせた所収

2017-09-23 09:21:33 | 作品論
 戦時中のナチスドイツは、人種による優劣を主張していました。
 主人公の十四、五歳の女の子は、一番優秀とされる北方人種であることを望んでいましたが、担任の先生に、ドイツ人で一番劣等とされる東方人種(もちろんユダヤ人はさらにその下で、ドイツ人の仲間と認められていません)の典型だと、みんなの前で宣言されて、衝撃を受けます。
 しかし、ヒトラーも北方人種でないことを知り、ナチスの人種による差別に疑いを抱くようになります。
 日本人は一般に単一民族だと主張されていますが、日本には中国人、朝鮮人などの人びとも暮らしていますし、アイヌなどの少数民族の人びともいます。
 日本には人種差別はない(あるいは少ない)とされていますが、上記の人びとに対する優越意識、差別意識は厳然として存在します。
 これらの意識は根深い所で生き続けていて、私自身にも少なからずあることを告白しなければなりません。

そこに僕らは居合わせた―― 語り伝える、ナチス・ドイツ下の記憶
クリエーター情報なし
みすず書房
 

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1 コメント

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Unknown (日本はどうなったのか)
2013-05-12 01:51:02
日本に人種差別がない(少ない)と今でも考えられていること自体が不思議です。ネットでは在日コリアンへの
誹謗中傷・差別・デマがあふれ、人種差別以外にも
あらゆる悪意と差別がむき出しに放置されていますね。
私は、先進国でありながら、人種差別を罰する法律もなく、言論の自由のもとで、憎悪表現を放置する日本は
差別大国だと思います。特に政治家の失言や差別発言の酷さは異常です。
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