現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

児童文学におけるネーミング

2016-10-26 08:17:49 | 考察
 児童文学に限らず、作品の登場人物にどのような名前をつけるかは重要なポイントです。
 作者の立場で言えば、書こうとする登場人物にぴったりの名前を思いつけば、その人物は作品の中で自由に活躍してくれてどんどん書き進めていくことができます。
 一方、読者の立場で言えば、登場人物の名前に違和感を持つと、なかなかスムーズに読み進められません。
 その両者が一致すれば、それは幸福なマッチングなのですが、なかなかそううまくはいきません。
 特に、子どもの下の名前にはその時々ではやりがあるので、作品の設定時代に合った名前を使わなければなりません。
 例えば、かつては女の子の名前としてはポピュラーだった下の字に「子」を使った名前は、現在ではクラスに一人か二人ぐらいしかいません。
 そんな時に、現代を舞台にした作品に、名前に「子」がついた女の子がたくさん出てくると、それだけで古臭く(昭和っぽく)感じられてしまいます(ある合評会で村中李衣の「チャーシューの月」(その記事を参照してください)を取り上げた時に、女子大生が同様のことを指摘していましたが、子どもが読んだ時にはさらに強く違和感を感じることでしょう)。
 これは、男の子の名前の「男」や「夫」なども同様でしょう。
 かといって、不必要に今風の凝った名前をつけるのも、逆効果になる場合があります。
 いくら現実にキラキラネームをつける親が増えているからといって、安易にそれらを多用すると読者が読みづらいですし、作品の品格も損なってしまいます。
 それらの名前は、ラブコメやファンタジーなどに使うのならまだ作品世界をこわさないこともありますが、シリアスな作品やリアリズムの作品にはそぐわないことが多いようです。
 また、初心者に多いのですが、登場人物にいちいち固有の名前をつけることがあります。
 これは、読者が読んでいて混乱するので、重要でない登場人物はあえてネーミングしないで、その人物の属性をあらわす品詞(おとうさん、おかあさん、先生など)を使うだけにした方が読みやすくなると思います。

クリエーターのためのネーミング辞典 (一般向辞典)
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