1939年公開のアメリカのミュージカル映画です。
1900年に書かれたボームの児童文学「オズの魔法使い」(こちらには送り仮名の「い」がついていますが、映画の邦題はなぜか「い」が抜けています)が原作ですが、上映時間制限(いわゆる100分映画です)により短縮するために、かなり大幅にストーリーは変えられています。
しかし、アカデミー主題歌賞を獲得した「オーバー・ザ・レインボー(虹の彼方に)」を初めとした今でも耳に残る楽曲の数々(アカデミー作曲賞を受賞)とダンス、当時は珍しかったカラー映像(カンザス(主人公の女の子ドロシーの故郷)のシーンはモノクロで、オズの国にいる場面だけをカラーにして効果をあげています)が、ファンタジー世界(当時はそういった言葉は一般的ではありませんでしたが)を見事に再現しています。
CGなどまったくなく、特殊撮影さえ珍しい時代に、ファンタジー世界を創り出すためにいろいろな工夫がなされ、そのため安易なCGには到底できないような独特の味わいを生み出しています。
特に、主人公と一緒に旅するかかし、ブリキの木こり、ライオンには、カンザスにあるドロシーのおじさんおばさんの農場で働いていた三人の男たち(ドロシーとは仲良しです)を、メーキャップでそれぞれのキャラクターに変身させているアイデアは素晴らしいです。
特殊メイクとはとても言えないレベルですが、その手作り感が作品に親しみを与えています。
また、マンチキン(小さな人たち)の国、黄色いレンガの道(つまり、エルトン・ジョンも歌っている「イエロー・ブリック・ロード」ですね)、あたり一面のケシ畑、エメラルドの都などは、現在のディズニーランドのアトラクションなどに雰囲気は似ていますが、はるかに美しくできています(まあ、当然、この映画のセットの方が先なので、ディズニーランドに影響を与えているのでしょうが)。
主役のドロシーを演じた当時16歳だったジュディ―・ガーランドは、美しい歌声と達者な演技でアカデミー特別賞を受賞しました。
なお、映画監督のヴィンセント・ミネリとの間に生まれた娘のライザ・ミネリも、1972年公開の「キャバレー」でアカデミー主演女優賞を受賞しているので、史上唯一の母子受賞となっています。
実は父親のヴィンセント・ミネリもアカデミー監督賞を受賞していますので、ライザ・ミネリは恐るべきアカデミー賞血統ですね。
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