現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

J.D.サリンジャー「エディに会いに行けよ」若者たち所収

2021-05-22 13:26:42 | 作品論

 いろいろな男たちと浮名(不倫も含めて)を流し続けている妹(歌手か女優志望でかなりの美人のようです)を心配して忠告しに来た兄(やはり芸能界に関係しているらしい)との会話と兄妹げんかだけで構成されています。
 直接は関係ないのですが、サリンジャーがグラス家年代記の作品群に登場する有名な七人兄妹(シーモア、バディー、ブーブー、ウォルト、ウェイカー、ズーイ、フラニー)で描いた兄妹の絆の原型がここにあります。
 また、アメリカの戦後の繁栄期(黄金の五十年代と言われています)の典型的な中流家庭(といっても女中がいます)の子弟の暮らしぶりも描かれています。
 そういえば、サリンジャーの代表作の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」(その記事を参照してください)を模倣したと言われる庄司薫の「赤ずきんちゃん気をつけて」の主人公の家にも女中がいますので、高度成長期前の日本の中流家庭でも同様だったようです(高度成長期に賃金が急上昇し、中流家庭からは女中は姿を消しました)。

サリンジャー選集(2) 若者たち〈短編集1〉
クリエーター情報なし
荒地出版社

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