いろいろな男たちと浮名(不倫も含めて)を流し続けている妹(歌手か女優志望でかなりの美人のようです)を心配して忠告しに来た兄(やはり芸能界に関係しているらしい)との会話と兄妹げんかだけで構成されています。
直接は関係ないのですが、サリンジャーがグラス家年代記の作品群に登場する有名な七人兄妹(シーモア、バディー、ブーブー、ウォルト、ウェイカー、ズーイ、フラニー)で描いた兄妹の絆の原型がここにあります。
また、アメリカの戦後の繁栄期(黄金の五十年代と言われています)の典型的な中流家庭(といっても女中がいます)の子弟の暮らしぶりも描かれています。
そういえば、サリンジャーの代表作の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」(その記事を参照してください)を模倣したと言われる庄司薫の「赤ずきんちゃん気をつけて」の主人公の家にも女中がいますので、高度成長期前の日本の中流家庭でも同様だったようです(高度成長期に賃金が急上昇し、中流家庭からは女中は姿を消しました)。
サリンジャー選集(2) 若者たち〈短編集1〉 | |
クリエーター情報なし | |
荒地出版社 |