2017年公開ですが、国内外のいろいろなマイナーな映画祭で受賞を重ねて話題になり、2018年にメジャーな公開がされています。
前半は、廃墟でソンビ映画を撮影していたチームが本当のゾンビに襲われるというB級ホラー映画で、その終了時には実際にエンドロールも流れます(ところどころ放送事故のようなおかしな場面があって、出来栄えはイマイチなのですが、それが後半の伏線になっています)。
中盤は、その映画の監督一家(夫は再現シーンなどのマイナーなフィルム専用の妥協ばかりしている監督、妻は元女優、娘も監督志望だが一切妥協しないのでADとして問題ばかり起こしている)を中心に、この映画(実は、30分ノーカットで生中継もされる)に関わる、いずれも一癖あるプロデューサー、スタッフ、キャストなどの紹介(それぞれのキャラクターが後半の伏線になっていますが、ここが一番つまらない)。
後半は、ノーカット生中継のゾンビ映画などという無茶苦茶な設定と、いろいろなアクシデント(何かと撮影で手抜き(ゲロはNG、涙の代わりの目薬など)を要求する主演女優のアイドル、やたらとリアリティにこだわる主演男優のイケメン俳優、監督役の男優とメイク役の女優が実は不倫中で一緒の車で撮影現場に来る途中に事故を起こし来れなくなり、実際の監督と元女優の妻が代役をすることになる。監督は、次第に夢中になって、日頃と違って妥協しなくなる。元女優の妻は、やたらと役にはまり込んでしまって、本番中に暴走する(もともとそのために女優を辞めさせられていた)。アルコール依存症のカメラマン役の男優が差し入れの日本酒を飲んでしまって、本番前に泥酔してしまう。硬水が飲めない体質の音声役の男優が誤って硬水を飲んで本番中に下痢を起こす。クレーンカメラが落下して壊れてしまい、代わりに人間ピラミッドを組んでその上で撮影するなど)を乗りこえて、生中継をなんとか最後まで乗り越えていく様子を、ノンフィクションタッチで描いています。
前半のゾンビ映画でのおかしな場面や、中盤で紹介されたいずれも一癖あるメンバーなどのすべての伏線が、後半のドキュメンタリーですべて見事に回収されていく腕前には感心させられ、上映中の満員の館内のあちこちで絶え間なく爆笑が起きていました(私自身も抱腹絶倒でした)。
なお、八月ごろにこの映画の原案になった舞台関係者と一時トラブル(原案ではなく原作で著作権を侵害しているといった内容のようでした)になりましたが、その後解決したようです(この作品の面白さはどう見ても映画的な所ですし、興業的に大ヒットして大手の配給会社も関係するようになったので、金銭的にも納得のいく線で保障できたのでしょう)。
【映画パンフレット】カメラを止めるな! ONE CUT OF THE DEAD | |
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