現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

黒川博行「泥濘」

2019-01-18 09:45:23 | 参考文献
 人気エンターテインメントの疫病神シリーズ(それぞれの記事を参照してください)の第七作です。
 例によって、イケイケやくざの桑原と半カタギでヘタレキャラの二宮の、デコボココンビが大暴れします。
 このシリーズは、四、五年かけてゆっくり書かれていたのですが、第五作の「破門」(その記事を参照してください)が直木賞を取って、テレビドラマや映画になって人気が出てからは、二年に一作のペースで出版されるようになり(一番売れるので)、粗製乱造が目立つようになりました。
 特に致命的なのは、二人を取り巻くお馴染みのメンバー(嶋田(二人の理解者のヤクザで、第六作からは組長になっているので、二人の不始末をなんでも尻拭いしてくれる)、悠紀(二宮の従妹のバレエインストラクター)と眞由美(桑原の内縁の妻)という二人のタイプの違う美人、中川(悪徳警官だがいつのまにか二人の後ろ盾になっている)など)がだんだんいい人キャラになっていって、敵対する悪徳集団(この作品の場合は、大阪府警のOBたちや敵対するやくざやおれ詐欺グループなど)と白黒がはっきりしすぎている点でしょう。

泥濘 疫病神シリーズ
クリエーター情報なし
文藝春秋
 

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