現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

長 新太「キャベツくん」

2020-02-28 08:44:14 | 作品論
1981年発行の絵本にっぽん大賞を受賞した作品です。
 私が読んだ本は1990年12月の18刷ですが、その後も増刷を重ねてロングセラーになっていることでしょう。
 この絵本も、児童文学研究者の石井直人が「現代児童文学の条件」(「研究 日本の児童文学 4 現代児童文学の可能性」所収、詳しくはその記事を参照してください)において、赤羽末吉の「おおきなおおきなおいも」や田島征三の「しばてん」などと並べて、「これらの絵本の画面には、およそ(読者の)「内面」に回収できない、とんでもない力が充溢している。」と、評しています。
 しかし、長の絵はのんびりとしたタッチなので、この作品に対しては石井の評はあまりあたっていない感じです。
 お話は、キャベツくんを食べた動物たちがどこかにキャベツがついた形に変身してしまうシーンが延々と続くだけなので、長が得意とするナンセンステールでしょう。
 長には、「おしゃべりなたまごやき(文:寺村輝夫)」や「のんびりこぶたとせかせかうさぎ(文:小沢正)」のような傑作絵本がたくさんありますが、どちらかというと絵だけを担当した作品の方が優れているものが多いようです。

キャベツくん (ぽっぽライブラリ―みるみる絵本)
クリエーター情報なし
文研出版

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