2012年7月20日に出た、岡倉禎志の写真による戦争児童文学です。
広島の平和記念資料館の地下収蔵庫にある2万1千点の中から選ばれた14点の遺品が、静かにピカドン(ビナードによれば、原子爆弾や核兵器は核開発を進めた人たちの呼び名で、ピカドンが生活者が生み出した言葉とのことです)の恐ろしさを告発していきます。
14点の遺品は、時計、軍手、鉄瓶、眼鏡、日記帳、弁当箱、ワンピース、鍵束、革靴、義歯、非常袋、ビー玉、学帽、人影の石です。
それぞれビナードの抑制のきいた文章で、今も帰らぬ持ち主をさがしていることが語られます。
戦争体験を過去の話とするのではなく、今も残る遺品に現在のこととして語らせているのがこの本の優れた点だと思います。
被爆というメモリー(国民の記憶)を繰り返し更新していくことは、それらが風化するのを防ぐために重要な作業だと思います。
それを、現在の人たち、特に若い世代に伝えるためには、この本のような工夫が必要だと思います。
また、被害者である生活者たちと、加害者でもあった日本という国を峻別する言葉遣いが見事です。
そして、本文では原子爆弾や核兵器という言葉は使わずに、ウランとか放射能という用語を使うことによって、暗黙のうちに福島第一原発の事故と結びつけて、放射能被害が過去でなく現在の問題であることを表現しています。
戦争児童文学は私の児童文学における読書体験や創作体験では一番手薄な分野でしたが、2012年10月27日と28日の日本児童文学学会の大会の中で行われたラウンドテーブル「<記憶>の伝達を考える――「戦争児童文学」という枠からの脱出」(その記事を参照してください)に向けて課題図書を集中的に読んだことより、「現代児童文学」の中の無視できない大きな領域であることが改めて認識できたので、研究の対象に含めるようにしました。
広島の平和記念資料館の地下収蔵庫にある2万1千点の中から選ばれた14点の遺品が、静かにピカドン(ビナードによれば、原子爆弾や核兵器は核開発を進めた人たちの呼び名で、ピカドンが生活者が生み出した言葉とのことです)の恐ろしさを告発していきます。
14点の遺品は、時計、軍手、鉄瓶、眼鏡、日記帳、弁当箱、ワンピース、鍵束、革靴、義歯、非常袋、ビー玉、学帽、人影の石です。
それぞれビナードの抑制のきいた文章で、今も帰らぬ持ち主をさがしていることが語られます。
戦争体験を過去の話とするのではなく、今も残る遺品に現在のこととして語らせているのがこの本の優れた点だと思います。
被爆というメモリー(国民の記憶)を繰り返し更新していくことは、それらが風化するのを防ぐために重要な作業だと思います。
それを、現在の人たち、特に若い世代に伝えるためには、この本のような工夫が必要だと思います。
また、被害者である生活者たちと、加害者でもあった日本という国を峻別する言葉遣いが見事です。
そして、本文では原子爆弾や核兵器という言葉は使わずに、ウランとか放射能という用語を使うことによって、暗黙のうちに福島第一原発の事故と結びつけて、放射能被害が過去でなく現在の問題であることを表現しています。
戦争児童文学は私の児童文学における読書体験や創作体験では一番手薄な分野でしたが、2012年10月27日と28日の日本児童文学学会の大会の中で行われたラウンドテーブル「<記憶>の伝達を考える――「戦争児童文学」という枠からの脱出」(その記事を参照してください)に向けて課題図書を集中的に読んだことより、「現代児童文学」の中の無視できない大きな領域であることが改めて認識できたので、研究の対象に含めるようにしました。
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