現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

サキ「ラプロシュカの霊魂」サキ短編集所収

2020-01-21 15:46:51 | 作品論
 非常にケチな友人が、わずか2フランの主人公への貸し金(主人公が巧妙に仕組んで、絶対にお金を貸さない友人に貸せさせたので、それをうらんで死んだとも読めます)を残して急死します。
 それ以来、彼の霊魂は、主人公がその2フランを金持ちに寄付する(つまり意味のない使い方をさせる)まで、まとわりつくという、かなり滑稽な設定の掌編です。
 アイデアは面白いのですが、2フランを寄付する適当な相手を見つけるプロセスが、現在の読者にはなかなか理解が困難なので、作品としての賞味期限が過ぎてしまっているのかもしれません。

サキ短編集 (新潮文庫)
中村 能三
新潮社


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斉藤栄美 作、岡本 順 絵「ふしぎなおるすばん」

2020-01-21 08:33:21 | 作品論
 主人公の男の子が、一人でおるすばんをする絵本です。
 全体が「しりとり」になっていて、ページを開くたびに何が現れるか楽しみになる工夫が凝らされています。
 作中の「しりとり」は「しりとり→りんご→ごりら→らくだ→だちょう→うし→しろくま→まんとひひ→ひでお(主人公)→」と続き、最後に素敵なオチがついています(それは、読んでのお楽しみ)。
 作者は、シリアスなリアリズム作品、ラブコメなどのエンターテインメント作品、この作品のような絵本など、多彩な作品群を書き分ける豊かな才能に恵まれています。

ふしぎなおるすばん (えほんはともだち)
クリエーター情報なし
ポプラ社
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