現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

サキ「狼少年」サキ短編集

2019-04-29 09:05:33 | 参考文献
 掌編ながら、十分にゾッとさせられるサスペンス作品です。
 「君のうちの森には野獣がいるね」という友人の不可解な一言から話が始まります。
 そして、主人公の農園に裸の美少年が現れます。
 しかし、主人公はその素性に次第に疑念をいだき、友人に相談に出かけます。
 そして、あの美少年が夜になると狼に変身することを悟ります。
 刻々と迫る夕闇、夜になる前にと懸命に自宅へ戻っていく主人公。
 しかし、間に合わずに悲劇は起こってしまいます。
 その日、彼の屋敷に住む叔母が集めた子どもたちの一人が、帰りに少年に送られたまま、悲鳴と共に行方不明になってしまうのです。
 同時に、少年も衣服だけを残して姿を消します。
 伯母も含めてみんなは、川に落ちた子どもを助けようとして、少年が衣服を脱いで川に飛び込み、自分も流されてしまったのだろうとの美談を信じています。
 しかし、主人公だけは、違う結末(狼に変身した少年に子どもがさらわれてしまった)を信じています。
 真相は最後まではっきりしないのですが、サキの巧みな筆さばきによって、読者たちも主人公同様にゾッとさせられます。
コメント
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