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イタドリ・1~春

 春になると地面から赤い葉があちらこちらで伸びてくる。これはタデ科イタドリ属の「イタドリ(虎杖・痛取)」で、若い茎は生でも食べられる。子供の頃、土手に生えているものを、遊びで齧ったことがあり少し酸っぱかったことを覚えているが、それが食卓に乗った記憶は無い。この根茎を乾燥させたものが生薬の “虎杖根(こじょうこん)” で、利尿や鎮咳に薬効がある。外傷には若葉を揉んで止血させるが、これが “痛みを取る” ということからイタドリの由来になったとされている。虎杖はその読み方を当てたのだろう。イタドリは古くから馴染みがあったようで、清少納言は “枕草子” の中でイタドリについて触れている。
 以下に現代語訳(訳:田中重太郎)で紹介しておこう。

『実物を見たら大したこともない物で、漢字で書くとものものしく、どんなものであろうかと思うもの。覆盆子(いちご)。鴨跖草(つゆくさ)。蜘蛛(くも)。胡桃(くるみ)。文章博士(もんじょううはかせ=大学寮に属する官名)。得業の生(古代の学制で成績優秀者を選んで与えた身分)。皇太后宮の権の大夫(皇太后宮職の定員外に仮に任ずる長官)。楊梅(やまもも)。虎杖(いたどり)は、まして虎の杖と書いてあるが、実物は杖など無くてもすませそうな姿であるのに。』<百四十九段>
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エンゴサク

 ケシ科キケマン属の「エンゴサク(延胡索)」。中国原産で江戸時代に中国から薬草として渡来した。地下の塊茎をを乾燥させたものが生薬の “延胡索” で、鎮痛の薬効がある。同じ仲間でもキケマンやムラサキケマンなどは塊茎を作らない。ジロボウエンゴサクも同じような花だが、薬効はずいぶん劣るようで、生薬に使われるのはエンゴサクだけのようだ。これは東京薬科大学薬草園のもの。
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